OPECが減産順守すれば、原油相場40ドル台定着か
実際に米国などで第2波が到来したり、世界全体で第1波が継続したりした場合、石油の消費量は、現時点の見通しよりも低水準になる可能性があり、このことが石油の市場の下押し材料となる可能性があります。
とはいえ、石油市場における材料は、新型コロナウイルスだけではありません。その時の需給データの(見通しではなく)実績値が、例えば、OPECプラスが減産をきちんと順守したり、本年春から始まったシェールを含む米国の原油生産量の減少が続いたりすれば、一定程度、需給バランスが引き締まり、年後半にかけて、原油価格は今よりも、高い位置にある可能性があります。
以下の資料は、OPEC内減産実施国10カ国の5月の減産順守状況などを示しています。
図:OPEC内減産実施国10カ国の5月の減産順守状況など
OPECが6月17日(水)に月報で公表したOPEC内で減産に参加する10カ国の5月の原油生産量から推計される減産順守率は、84.1%でした(筆者推計。100%以上で減産順守)。
つまり、協調減産再開初月となった5月は減産非順守だったわけですが、以前の「原油価格は1カ月で約2倍に上昇。OPECプラスの「ヤミ増産ストッパー付き減産に期待」で述べたとおり、5月と6月に、基準を超えて生産をしてしまった量を、7月から9月の3カ月以内に、本来削減するべき量に上乗せをして、削減をすることになっています。
その上乗せをする量は、OPEC内減産参加国10カ国合計で、上記の資料のとおり、日量およそ120万バレル程度です。これに関連し、5月の減産順守率が40%程度だったイラクが、上乗せをして減産をすることを明言した、という報道もあります。