新型コロナウイルス、世界的にはまだ“第1波”の最中

 以下のグラフは、地域別の、新型コロナウイルスの感染者の前日比を示しています。

図:地域別、新型コロナウイルス感染者(前日比) 単位:人

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 ここ最近、毎日のように取りざたされる“新型コロナ第2波”について考えます。さまざまな報道の情報をまとめれば、第2波とは“初めて感染が拡大した後、いったん感染拡大が収まるも、ぶり返して再び拡大し、第1波よりも大きな被害を発生させる波”と言えます。

 上図でいえば、米国(北米のうち95%以上が米国)がそれに近い状態にあり、米国で第2波が起こりつつある、と言えます。

 では感染拡大が続いている南米、インド、中東、アフリカは、どのような状態と言えるのでしょうか? “いったん感染拡大が収まる”ことがまだ起きていないため、現状は、第1波の最中、と言えます。

 一口に“第2波”といっても、地域によって状況が異なるため、当てはまる地域とそうでない地域に分かれるわけです。日本に住んでいて、“第2波”というと、新しい心配事が迫ってきているような気持ちになりますが、それは日本や米国での話です。

 第2波への警戒は、個別の地域での議論であり、世界全体での議論ではありません。世界全体で言えば、第1波が拡大中、です。

 以下のグラフは、世界全体の新型コロナウイルス感染者の前日比を示しています。

図:世界全体の、新型コロナウイルス感染者(前日比) 単位:人

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

  現代社会における世界経済では、足りないものを他国から買う(輸入する)、余分なものや自国で付加価値をつけたものを他国へ売る(輸出する)という“貿易”が、発展のために不可欠です。

 このように、基本的に国と国は、関わり合いながら存在しているからこそ、世界全体を網羅する議論が重要です。

 現段階で、第2波の議論は、世界の一部の地域についての議論で、世界全体を網羅する議論ではないことに、留意が必要です。一部の地域に第2波を到来させないことと同じくらい、第1波が起きている地域でまずは感染をひと段落させることが、重要なのです。