コロナ・ショックの影響を振り返る【債券、金、原油】

 次に債券、金、そして原油について見ていきましょう。

 この3資産は、前述の株式やリートよりもさらに「明」と「暗」がはっきりと分かれました。まず債券ですが、先進国債券がおおむね横ばいで推移した中、為替の影響がマイナスに作用した新興国債券は苦戦を強いられました。ブラジル、トルコ、メキシコなどの新興国通貨は、コロナ・ショックの前から不安定な動きを見せていましたが、2月下旬以降、大きく下落しました。

 代替資産である金と原油は、原油が急落に見舞われた中、金は上昇しました。

 一般的に金価格は、米国株式や米ドルと反対の値動きをする(逆相関)と言われています。3月中旬には、株価急落で資金不足に陥った投資家が換金売りを急ぎ、金価格が一時期大きく下げましたが、その後は安全資産としての側面に注目が集まり、上昇に転じました。FRB(米連邦準備制度理事会)が金利をゼロに近い水準に引き下げたことで、元々金利が付かない金の魅力が増した格好です。

 対して原油は、世界的な経済活動の停止に伴って大幅な需要のだぶつきが生じ、歴史的な安値水準まで価格が下落しました。

パフォーマンス比較(分配金再投資基準価額)