FRBの断固とした措置で最悪の状態は回避している

 2月後半に米国株式市場が急落したのを見て、投資家の解約に備える現金化(=いわゆる「ドル不足」現象)の必要から、普段ならぜんぜん流動性に問題がない米国債にすら売り手が殺到、トレードが円滑に行えない場面が出ました。

 これに驚いたFRBは政策金利を0~0.25%へ下げるのみならず、無制限の量的緩和政策を打ち出しました。さらに資産担保証券、社債、地方債、ローン、市町村の振り出す手形まで片っ端から買い取る姿勢を示しました。

 そのような断固としたFRBの姿勢を見て、マーケットは落ち着きを取り戻しました。

 下のグラフは米国債のビッドとオファーがどれだけかい離しているかを示したチャートです。図中の「On-the-run」はいま最も活発に取引されている指標銘柄、「Off-the-run」はそれ以外を指します。

財務省証券Bid-Askスプレッド

単位:100ドル当たり¢
出所:FRB

 このチャートが上に行くほど円滑なトレードができなくなっていることを示しています。

 これを見ると最も売買が集中している指標銘柄(青色)以外の国債(橙色)は、一時ビッドとオファーのかい離が開いてしまい、とてもトレードしにくくなっていたことが読み取れます。でも一連の措置の発表で市場は落ち着きを取り戻したのです。