時価総額の増勢で存在感を強めるナスダック100

 米国株式市場の動向を示す代表的な株価平均指数としては、ダウ平均(ダウ工業株30種平均:株価単純平均指数)、S&P500指数(大企業500社で構成される時価総額加重平均指数)、ナスダック総合指数(2700銘柄を超える店頭株で構成される時価総額加重平均指数)があります。

 ナスダック100指数は、ナスダック総合指数の構成銘柄のうち「金融業種以外のセクター」で時価総額が最も高い100銘柄で構成されている時価総額加重平均指数として注目されています。特に、デジタル革命の進展で時価総額が膨らんでいるGAFAM(FAANG)と呼ばれるIT(情報技術)分野の大手プラットフォーマーの成長期待を映し、時価総額の増勢が鮮明となっています。

 図表2は、「ナスダック100指数の時価総額÷S&P500指数の時価総額」と、「TOPIXの時価総額(ドル換算)÷S&P500指数の時価総額」の推移を比較したものです。ナスダック100指数の比率はコロナ危機で一段と上昇(直近は41.8%)。一方のTOPIXはS&P500指数に対し低下傾向を辿っています(直近は20.7%)。

<図表2>時価総額の増勢で存在感を強めるナスダック100指数

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2009年初~2020年5月13日)

 マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは4月29日の決算発表時、コロナ危機によるWFH(在宅勤務)の急増で「2年分のデジタル変革が2カ月で起きた」と述べました。社会的距離戦略が普及するなか、法人顧客からのクラウド構築需要増加が加速し、チームズ(対話アプリ)など業務用ソフトの利用も増加しています。

 同社では、利益率が高いSAAS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)と呼ばれるサブスクリプション(定額課金)型ビジネスの安定成長が見込まれており、株価上昇で同社の時価総額は約13.6兆ドル(約146兆円)に増加。ナスダック100指数構成銘柄で(S&P500指数構成銘柄でも)時価総額が1位となっています。

 図表3では、ナスダック100指数の構成銘柄で時価総額の大きい15銘柄を一覧にしました。時価総額が増勢を辿る銘柄は「資本主義経済下の市場で投資家の評価と期待が高い企業」と言われています。

 特に、GAFAMと呼ばれる上位5銘柄(MSFT+AAPL+AMZN+GOOG+FB)の時価総額合計は約5.38兆ドル(約576兆円)に達し、TOPIX(東証1部上場2,163社)の時価総額合計(約563兆円)を超える水準に増加しています。

<図表3>ナスダック100の主力構成銘柄(時価総額の降順)

ティッカー 銘柄名 時価総額
:億ドル
時価総額
:兆円
直近
株価
1年前比
騰落率
MSFT マイクロソフト 13,631 145.76 179.75 44.1
AAPL アップル 13,335 142.59 307.65 63.1
AMZN アマゾン・ドット・コム 11,811 126.29 2,367.92 28.7
GOOG アルファベット 9,208 98.46 1,349.33 20.4
FB フェイスブック 5,844 62.48 205.10 13.5
INTC インテル 2,445 26.14 57.74 27.8
NVDA エヌビディア 1,914 20.47 311.20 92.1
NFLX ネットフリックス 1,928 20.61 438.27 26.8
PEP ペプシコ 1,845 19.73 132.96 4.4
CSCO シスコシステムズ 1,779 19.02 41.95 -19.4
ADBE アドビ 1,728 18.47 358.56 31.9
PYPL ペイパル・ホールディングス 1,687 18.04 143.73 31.8
CMCSA コムキャスト 1,596 17.07 34.97 -18.5
TSLA テスラ 1,467 15.69 790.96 240.5
AMGN アムジェン 1,393 14.90 236.83 41.1
【単位】時価総額 :億ドル  時価総額:兆円  直近株価:ドル  1年前比騰落率 :%
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2020年5月13日)