大恐慌以来、最悪の不況の可能性

 IMF(国際通貨基金)は14日、世界経済見通しを発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大による影響を踏まえ、2020年の世界の成長率は前年比▲3.0%と、前回1月時点の予測(+3.3%)から6.3ポイント下方修正しました。マイナス成長だったリーマン・ショック後の2009年(▲0.1%)を大幅に下回る景気悪化となっています。

 IMFは2020年の世界のGDP(国内総生産)は90兆ドルと見込んでいましたので、6.3ポイントの落ち込みは単純計算で約5.7兆ドル(約612兆円)の経済損失となります。日本一国のGDPが吹っ飛ぶ計算となります。IMFは「大恐慌以来、最悪の不況を経験する可能性が高い」と危機感を示しています。大恐慌時の1929~1932年に世界のGDPは10%縮小したそうです。

 2021年の世界の成長率については、今年後半に感染が収束に向かうことを前提に+5.8%と急回復すると予測していますが、感染症の専門家達との見方とは異なる楽観的な前提となっており、果たしてV時回復が期待できるのか注目です。
(経済見通し 世界2020年▲3.0→2021年+5.8% 米国同▲5.9→同+4.7% 日本同▲5.2→同+3.0%)

全値戻しのドル/円は半値戻しの水準を模索

 NYダウの半値戻しに対してドル/円は既に3月後半にほぼ全値戻しをしています。ドル/円は2月後半の112円台前半から、新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化懸念によって101円台前半に急落しましたが、3月後半に向けてドル資金需要が高まり、ドル全面高の中で111円台後半まで戻しました。ほぼ全値を戻した動きです。しかし、期末・四半期末のドル資金手当てが一巡するとドル/円は下落し、112円台と101円台の半値である106円台後半に収束していくような動きをみせています。

 4月に入ると1,000ドル単位で動いていたNYダウも激しい動きが落ち着いてきました。これを受けてドル/円も50銭~1円の値幅で動くようになってきました。ドル/円は現時点では半値以上戻していますが、上値が徐々に重くなってきています。FRBのあれだけの資金供給が出れば、早晩、ドル/円は半値以下の水準へレンジが切り下がってくるかもしれません。