パニックは収まるか?日経VI(ボラティリティー・インデックス)は少し低下

 日本株は、配当利回りや買収価値から見て、割安と判断しています。ところが、今のようなパニック相場では、割安であることは無視されます。パニックが収まるまで、どこまでも問答無用の売りが続くこともあり得ます。

 株式市場での恐怖がさらに強まるか低下するか、以下の強弱材料の綱引きによって決まります。

【強材料】
 ◆世界各国が協調して、何でもありの巨額経済対策を出してきていること
 ◆新型コロナの「治療薬・ワクチン・簡単な検査方法」の開発が進み始めていること

【弱材料】
 ◆欧米および日本で、感染拡大が止まらないこと
 ◆感染を抑えるための経済封鎖により、日本および世界の景気・企業業績が急激に悪化していること

 日本でも欧米でも感染拡大が加速しており、現実の脅威は一段と高まっています。ただし、希望の灯もあります。

 1つは、治癒薬・ワクチンの開発が進み始めていること、もう1つは、中国に続いてイタリアで感染拡大に歯止めがかかり始めていることです。イタリアで本当に感染が収まりつつあるのか、もうしばらく推移を見守る必要があります。もしイタリアで感染を抑える経済封鎖が成功しつつあるならば、明るい材料となります。中国・イタリアのやり方が、感染拡大に苦しむ国にとって、重要な参考情報となるからです。

 さて、新型コロナについてさまざまなニュースが出る中、日本の株式市場での恐怖が高まっているか低下しているか見るために、便利な指標があります。日本経済新聞社が算出している日経VI(ボラティリティー・インデックス)です。

 詳しい説明は割愛しますが、日経平均オプションなどのデータから、株式市場での「リスクへの警戒」がどの程度高まっているか計測して、指数化したものです。

日経平均と日経VI(ボラティリティー・インデックス)週次推移:2018年1月4日~20年4月3日

出所:日経QUICKより楽天証券経済研究所が作成 ©日本経済新聞社
 恐怖指数とも言われることがある「日経VI」は、上のグラフをご覧いただくと分かる通り、日経平均が急落する局面で上昇します。通常は20程度の水準で推移していますが、コロナ・ショックで日経平均が暴落すると、一時58.5まで上昇しました。ただし、3月末にかけ日経平均が急反発すると低下しました。低下したとは言っても、まだ46と、きわめて高い水準にあります。

 新型コロナ関連で今後出てくるニュースにより、この恐怖指数がさらに低下するか、再び上昇するか、注目されます。