誰が売り、誰が買った?

 先々週までの主体別売買データが出ていますので、そこまでまず振り返ります。

急落・急反発局面での投資主体別売買動向:2020年2月25日~3月27日

出所:東京証券取引所「主体別売買動向(売買差額)2市場1・2部」より作成。日本銀行の買越額出所は、日本銀行。マイナスは売り越し、プラスは買い越し。日銀は日本株ETFを購入するが、株式を直接買い付けない。日銀が購入するETFを組成するための日本株買いが証券自己などから出る。

 上の表で、事業法人の買いは、大部分が「自社株買い」です。信託銀行は、ほとんどが年金基金の買いと、推定されます。

 ご覧いただくと分かる通り、日経平均を暴落させたのは、外国人投資家です。外国人は、日経平均の急落局面でも急反発局面でも、一貫して売り越しています。株式現物の売りは2兆5,637億円に達しています。

 外国人の売りに、買い向かっているのは国内投資家です。個人投資家・日本銀行・事業法人(自社株買い)・信託銀行(年金基金)が、買い越しています。

 興味深いのは、急反発局面だった3月23~27日の売買です。個人投資家は、急反発の週では戻り売り(1,232億円の売り越し)に転じていますが、日本銀行と信託銀行(年金基金)の買いが続いています。公的年金などが、3月末を控えてリバランスの買い【注】を出していたと考えられます。

【注】リバランスの買い
 公的年金は、年金資産を基準ポートフォリオ(日本株・外国株・国内債券・外国債券の標準組入比率を決めたモデル・ポートフォリオ)に従って長期運用しています。日本株・外国株が急落で、時価ベースで評価した内外株式の組入比率が基準よりも、大幅に低下したはずです。
 3月末に決算期末を控え、公的年金は、基準ポートフォリオから大きく乖離した組入比率を、基準に近づけるリバランスを、実行する必要があると考えられます。そのための日本株買いが、3月末受渡ベースの最終売買日(3月27日)に向けて出たと推測されます。

先週は、年金の買いが途切れて急落?

 3月の買い主体のうち、公的年金の買いは、3月の受け渡しベース最終売買日(3月27日)までで終了したと推定されます。3月期決算企業の自社株買いも、いったん終了しました。
 先週は、年金などの買いが途切れたところで、外国人投資家などにより、改めて日経平均が売られたと推定されます。