19年10-12月の売上高が1000億元突破、ゲーム事業のグローバル化が進行

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

 334.00HKD
(3/19現在)

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 テンセントの19年10-12月期の売上高が初めて1,000億元を突破し、BOCIの予想および市場コンセンサス予想をそれぞれ1%、2%上回った。前年比では25%の増収で、フィンランドのゲーム開発会社スーパーセルの連結化による影響を除外した場合は21%増収。非GAAPの純利益は255億元で、こちらはBOCI予想と市場予想を7%、1%下回った。同期決算の注目ポイントは、フィンテックおよび企業向けサービス(FBS)部門の利幅改善、ゲーム事業のグローバル化、ソーシャル広告の増収ペースの加速。一方、20年に入ってからの新型コロナウイルスの感染拡大はモバイル決済事業の打撃となり、クラウドビジネスの推進にも影響したが、その半面、“巣ごもり”下でのデジタルコンテンツの利用増を後押しした点でプラス。この先、企業のスマート化を加速させる可能性もある。BOCIは20-21年の予想調整後EPSを4%、8%減額修正しながらも、収益構成の変化を反映させる形で、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を増額修正。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 19年10-12月期を見ると、FBS部門の売上高は前年同期比39%増の299億元。粗利益率は7-9月の27.7%から28.1%に改善した。うちフィンテック事業を見ると、1日当たり商取引件数が10億を突破すると同時に、取引1件当たりの平均金額が増加。資産管理プラットフォーム「理財通」の口座残高も、前年同期比50%増の推定9億5,000万元に達した。一方、クラウドビジネスの売上高は19年通期に170億元を突破した。

 オンラインゲーム事業はグローバル化が進行し、10-12月のゲーム収入の23%を海外市場が占めた。人気タイトル「PUBGモバイル」「CODモバイル」のほか、スーパーセル(ゲーム収入の9%)が寄与。19年末時点で、DAU(デイリーアクティブユーザー)上位10ゲームの半分をテンセントまたはスーパーセルの作品が占めた。BOCIによると、グローバル化においては大型DAUタイトルを運営する上での高い専門性やゲーム開発のノウハウ、大手ゲーム会社との提携関係がテンセントにとっての強みという。

 ソーシャル広告収入は10-12月に前年同期比37%増と、4-6月、7-9月の28%、32%から加速した。最大の牽引役は、前年同期比で倍増以上の伸びを示した広告ネットワークであり、MAU(月間アクティブユーザー数)は5億超、1日当たりインプレッション(広告表示回数)は30億超を記録した。

 BOCIは今回、SOTP方式に基づいて目標株価を引き上げたが、修正後の目標値は20年予想PERで31倍(非GAAP)に当たる。一方、BOCIはレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、旗艦ゲームタイトルが予想以上に短命となる可能性、フィンテックとクラウド事業の利益率が正常レベルに達するまでに予想以上に時間がかかる可能性の2点を挙げている。