(5)商品の購入場所の選定
前述のように、現在、投資信託は、全く同じ商品でも、購入窓口によって実質的な手数料が異なる場合がしばしばある。「どこで買うのが有利か」というポイントは常に気にしておきたい。
(6)運用のモニタリングと(必要があれば)修正
もともとの投資配分が適切であれば、投資信託で投資する場合、個別株で投資する場合よりも、運用期間中に手を加える必要性が発生する頻度は小さいはずだ。しかし、投資したファンドの価値がどのように変動しているかは、時に重要な情報となることがあるのでなるべく頻繁に見ておきたい(たとえばベンチマークと不自然に乖離[かいり]していないかなどを見る)。個々のファンドごとにベンチマークと比較して見ておくことが重要だ。
また、たとえば、国内株式と外国株式の運用パフォーマンスが大きく異なった場合などに、資産配分のバランスが不適切に歪むことがある。あまり神経質になる必要はないが、年に一度程度は、改めて資産配分が適切かどうか、前提条件も含めてチェックしておきたい。
(補足)楽しみとしてのアクティブ・ファンド投資について
投資家に可能な判断と、投資家の損得を厳密に考えると、信託報酬に大きな差がある現在、手数料が相対的に高いアクティブ・ファンドに投資することは経済合理的とは言い難い。
しかし、運用者の投資哲学やファンドのコンセプトなどに共感して、多少手数料が高くてもアクティブ・ファンドに投資することは、「楽しみ」の一つとして肯定できる場合があるだろう。どの程度の手数料差までを許容するかは、投資家個人の価値判断によるものなので、一概に決めることはできない。あくまでも「楽しみ」にコストを払っているのだという認識があれば、構わないだろう。
特に、今後、手数料が安いアクティブ・ファンドが多数登場した場合、現在よりも多くの人が、低廉なコストでアクティブ・ファンドへの投資を楽しむことができるようになるだろう。
【補足】
2008年の記事なので、10年以上前の文章だが、内容はそのまま現在でも通用する。例えば、投資の手順が、…(3)資産配分→(4)商品選択→(5)金融機関の選択であるべきであって、しばしば行われる(5)→(4)→(3)はダメなのだ、という話などは、最近「トウシル」の動画で取り上げた。
投信そのものはこの間に、毎月分配型(奇数月分配も同様)ファンドの手数料が拡大して対面営業の金融機関の売り方がより強引になるような「劣化」と、インデックス・ファンドの手数料が下がったり、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の対象が拡充されたり、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)・つみたてNISAのような投資家にとって有利な制度ができたりといった「改善」の両方がある。もちろん、投資家には、「改善」を有効に活かすことを心がけてほしい。(2020年3月25日、山崎元)