19年下期は予想を上回る6%増益、20年半ばにマカオ5G商用化へ

現地コード 銘柄名
02588

中銀航空租賃

(ビーオーシー・アビエーション)

株価 情報種類

 58.00HKD
(3/12現在)

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 中銀航空租賃の19年12月本決算は、純利益が前年比13.2%増の7億200万米ドルと、市場予想を1.5%、BOCIの予想を3.7%それぞれ上回った。純リース・イールドは8.4%と、前年の8.6%をやや下回ったものの安定的。負債コストは前年の3.3%に対して3.6%だった。総売上高は14.5%増の19億7,600万米ドルで、うちリースレンタル収入は10.5%増加した。19年には予定されていたボーイング23機とエアバス5機の引き渡しが延期となったが、最新情報によれば、墜落事故を受けて飛行停止となっていたボーイング737 MAXは20年下期にも運航を再開するとみられ、これに伴い機材の引き渡しも再開される可能性が高いという。一方、新型コロナは航空業界にとって打撃だが、BOCIは航空機のリースが中長期の世界旅行需要見通しに基づく長期計画であると指摘。一部の新規リース契約が先送りされる可能性に言及しながらも、現段階では新型コロナウイルスの感染拡大が大打撃につながることは考えにくいとした。同社の目標株価(21年予想PBR1.30倍)を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 航空機の総引き渡し数、売却数は19年にそれぞれ54機、28機。ボーイング737MAXと一部エアバス機の計28機が延期となったが、その大半は20-21年に引き渡しが行われる予定という。19年末時点で、同社の保有機材数は317機で、平均機齢は3.1年と、リース業界で最も若い部類。機材稼働率は19年通期で99.6%に達した。

 世界的な新型コロナの感染拡大で航空会社の多くが一部運航停止を余儀なくされており、現状が20年上期のリース事業に影響する見込み。航空会社側はたとえ運航を停止しても機体のリース料支払いを継続しなければならず、同社の既存のリース収益には影響しないが、航空会社側が上期に予定していた新規機材の受け取りを先送りする可能性が生じる。また、同社は一部航空会社を対象に、リース料支払いを最大3カ月猶予しており(利子は適用)、これが短期的にキャッシュフロー面の圧力となる可能性もある。このほか、市況の悪化を受け、航空機の売却業務も上期に低迷する可能性が高い。

 一方、BOCIは逆風下での生き残りに向け、航空各社の流動性需要が高まっていると指摘。力強い流動性や上位の信用格付けを強みとする同社にとっては、購入&リースバック(PLB)取引や航空会社向けファイナンスなどのビジネス機会につながる可能性を指摘している。また、同社の財務・業務指標が同業他社を上回る点に注目。機齢が若く、需要のある機材を保有する同社が市場価値の変動局面を乗り切り、リース事業の安定的なROA(総資産利益率)を確保するとみる。新型コロナによる短期的なマイナス影響を指摘しつつも、長期のROA、ROE(株主資本利益率)に及ぼす影響は限定的との見方。長期的に15%に上るROE見通しを理由に、目標株価の基準としたPBR1.3倍は適正としている。