どういう主体が、日本株を買うか?

 それでは次に、どういう主体が日本株を買うか、考えてみましょう。過去の経験則なども含め、以下の通りと考えられます。

【1】日本銀行
これまで、年間6兆円のペースで日本株ETF(上場投資信託)を買ってきました。昨日、買いペースを年間12兆円に倍増させると発表しました。買うだけで、決して売らないので、日本株の需給改善に寄与します。

 ちなみに、日銀は、これまでに買い付けたETFの平均簿価が日経平均で1万9,500円くらいと発表しています。したがって、日銀は今、日本株ETF投資で巨額の含み損を抱えた状態です。それでも、一般の投資家と異なり、買いを続けることが可能です。

【2】自社株買い
 日本の上場企業の自社株買いが増えています。年間、10兆円くらいのペースで買っていると推定されます。これも、買うだけで売らないので、需給改善に寄与します。

【3】年金基金
 年金基金は、株が大きく下がると株を買い、株が大きく上がると株を売ります。今のように大きく下がる局面では、株を買い始める可能性が高いと考えられます。年金基金は、運用の基本ポートフォリオで、株の組入比率を決めています。株が大きく下がる局面では、時価ベースで株の組入比率が基本ポートフォリオで決めている比率よりも低くなるので、リバランスで株を買ってきます。

【4】個人投資家
 過去、日経平均が大きく下落する局面では、常に積極的な買い主体となってきました。リーマンショックが起こった2008年9月以降、日経平均が急落する中、1カ月で1兆円以上買い越したこともあります。現在のコロナショックでも、大幅に買い越しています。

 コロナショックの急落で、まだ買い主体の動きは目立っていませんが、いずれ、上記の買い主体も、積極的に動いてくると考えられます。短期的には、下がったために売らなければならない資金に押し負けていますが、売りが一巡すれば、日経平均を大きく反発させる力になると予想しています。