会合のスケジュール前倒しは、マイナス材料を迅速にプラス材料で上塗りするため?

 5月29日(金)から6月1日(月)にかけて、2つの海外主要メディアが、彼ら独自の調査結果として、再開後、協調減産の初月となった5月の、OPEC各国の原油生産量と減産順守率を公表しました。

 その結果は、以下のとおり、海外主要メディア2つとも、減産順守率は70%台だったとしました。一部のメディアは、OPECプラス全体の減産順守率は80%台だったとしています。

 減産順守率は、100%を超えれば、合意した削減量を削減したとして“減産順守”です。しかし、100%未満は、削減すべき量を削減しなかったため“減産順守できず”です。

図:5月時点の減産のルールと、海外主要メディアによる原油生産量と減産順守率 単位:百万バレル/日量

出所:海外主要メディアのデータより筆者作成

 OPECプラスにとって、減産が守られていないデータが公になったことは遺憾であり、迅速に、火消しを行う(市場に安心感を与える材料を作る)必要があったとみられます。

 当初予定していた6月9日・10日を待たず、“迅速に”、会合を行うことを実現したのが、ビデオ会議だったわけです。

 OPECプラスにとってビデオ会議は、要人が一時帰国して不安が拡大するリスクを排除したり、迅速に、マイナス材料をプラス材料で上塗りすることを可能にするなど、強力な武器と言えます。

 今後も、原油価格が急変した場合は、この武器を用い、臨時の会合を開催する可能性があります。