3.新型コロナウイルス感染拡大のリスク
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、世界規模で人や物の流れが規制されています。
この規制がリセッションにつながる可能性が警戒されていますが、足元では83億ドル規模の緊急予算措置にトランプ大統領が署名するなど、金利の引き下げだけでなく財政面でもサポートする流れが具体的に出てきました。
ただ、リセッションの懸念については完全に後退したわけではないと考えられます。規制によるネガティブな影響が、直接関係する旅行業や、中国にサプライチェーンを置くメーカーの範囲にとどまるのか、それ以外の広い範囲にも広がり消費マインドが低下し雇用環境にまで影響するのか、見極める必要があります。
前者であれば、米国株式市場は上昇トレンドに戻るとみられますが、それを決めるのは今後のマクロの経済指標や、4月下旬から本格化する決算発表における企業コメントでしょう。
今後注目したい経済指標
- 3月16日:3月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 3月17日:2月小売売上高(前月比)
- 3月17日:2月鉱工業生産(前月比)
- 3月18日:FOMC(米連邦公開市場委員会)、終了後政策金利発表
- 3月18日:パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の定例記者会見
出所:楽天証券ウェブサイト
4.マイクロソフトとエヌビディアに注目
原油価格が急落した水準から回復し、新型コロナウイルスの影響が一時的、部分的なものにとどまるというシナリオになれば、S&P500は回復トレンドに入るとみられます。
その場合に最も注目したい銘柄はマイクロソフト(MSFT)とエヌビディア(NVDA)です。
両社に共通している以下の3点を考慮すると、個別銘柄として保有する価値があると考えられます。
1.世界規模で高いシェアをすでに有しており、参入障壁を築いている分野がある
マイクロソフト…オフィス向けソフトウェア
エヌビディア…デスクトップPC用GPU(画像処理半導体)、ノートPC用GPU
2.今後業績をけん引する成長分野がある
マイクロソフト…クラウドサービスの「Azure」が成長中。2019年10-12月期の増収率は62%で、競合のアマゾン・ドット・コムやアルファベットのクラウドサービスよりも増収率が高い。
エヌビディア…データセンター向けが成長中。2019年にデータセンター向けネットワーキング企業「Mellanox」を買収しており、今後はさらにデータセンターを高機能化させる戦略。
エヌビディアのセグメント別売上高推移(単位:百万ドル)
3.企業活動に必要なサービスも提供しているため、個人消費が落ち込んだ場合の影響を相対的に緩和できる
マイクロソフト…オフィス向けソフトウェア及びクラウドサービスは企業活動に必要。ソフトウェアに関しては、近年、サブスクリプション型(ユーザーは使用期間に合わせて料金を支払う)への移行が進んでおり、利益の安定成長に寄与している。
エヌビディア…データセンターの需要は高いとみられる。主力のゲームは売上が変動しやすいが、足元ではサブスクリプション型のゲームストリーミングサービス「GeForce NOW」を発表しており、収益の安定化を図る狙いがあるとみられる。