国からのメッセージ

 これらの制度の真意を読み解くと、国は国民に自分自身で投資をして、将来の年金給付の減少、医療費や介護費の自己負担増に備え、資産形成をすることを望んでいることが分かります。

 前回書きましたが、日本の社会保障制度は、少子高齢化で本当にピンチです。給付を受ける側の高齢者の人口が大幅に増える一方、高齢者を支える現役世代の人口が減少するため、私達国民の生活は相当厳しくなります。

 働いている現役層の場合、まず保険料の引き上げで手取りの給料が減ります。消費税は今より高くなり、同じ買い物をしても支払う金額が多くなります。病院に行くと、医療費の自己負担が増えて、やはり支払う金額が多くなります。結果、現役層は、働いても手元にお金が残りにくくなります。

 定年退職した後は、年金の支給額が年々減っていきます。それどころか、年金の支給開始の年齢が徐々に引き上げられます。これからの高齢者は、現在の高齢者よりも相当厳しい老後が待っています。

 年金が減る、あるいは支給開始年齢が上がるとしても、その“程度”が小さければ、影響も小さくてすみます。しかし、残念ながら現状の日本の財政・政府債務(政府の借金)、人口の少子高齢化の状況を見ると、その“程度”は相当大きなものになることが予想されます。

 だからこそ、国は、投資の優遇制度を国民に提供しているわけです。

 つまり、つみたてNISA、NISA、iDeCoの導入は、国からのメッセージです。
「国民の皆さん、もう国にはお金がありません。今までと同じように、皆さんの老後の面倒をみることはもうできません。どうか自力で老後に備えて金融資産を作ってください。」というメッセージが隠されているのではないでしょうか。

すでに多くの人々が将来に備えて動いている

 今回の内容は、分かっている方々にとっては、釈迦に説法だと思います。「将来の年金などアテにしていないし、給料が減ることも医療費負担が増えることも想定済みで、改めて言われなくても分かっているよ」、「当たり前、常識だ」という話だと思います。

 実際NISAやiDeCoを始めている人の数は年々増えており、将来に備えて自力での資産形成に動きはじめています。

 読者の皆さんの中で、もしまだ自力の資産形成を始めていない方がいたら、すぐにでも、つみたてNISAやNISA、iDeCoを活用し、長期的な資産形成への取り組みを始めることをお勧めします。

 NISAやiDeCoで資産を運用することは、特別なことではありません。投資のハードルも税制メリットで、下がりました。もともとお金持ちの方は別ですが、一般の方が老後に大変な思いをしないようにするには、NISAやiDeCoはやっていて損はないと思います。

 これからの日本の社会保障制度は、少子高齢化が進むため厳しくなります。つまり、国民が自分自身で資産形成をしなければ、大変厳しい老後を過ごすことになる可能性が高いのです。

 国からのメッセージのNISAやiDeCoの資産運用。これらを利用して、老後の自分に少し余裕をあげてはいかがでしょうか。