投資スタートの「第一歩」は節約と家計管理にあり

 私がお金に関するセミナーで必ず指摘する問題の一つに、「投資以前」という点があります。投資は「拠出」と「運用」の組み合わせで成り立っていて、「投資以前」というのは「拠出」の前、つまり投資の資金を作るための節約を、私たちはつい忘れがちだからです。

 特に、若い世代の資産形成において重要なのは、投資資金を100万円貯めるまでがんばることではなく、まずは毎月少額でいいので、積み立て投資を始めることです。これまで消費に使っていた分の中から「毎月の一定額」を資産形成に回すことになれば、今までよりも少ない額で生活をやりくりしなければなりません。

 例えば、毎月1万円の積み立て投資をiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)にするなら1万円を、毎月2万円をつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座に入金すると決めれば2万円を、家計から確保しなければいけないわけです。

 すでに貯金をしている人の場合、その貯金にはすでに目的があるはずで、これをiDeCoやつみたてNISAに回すわけにはいかないでしょう。住宅購入資金や子どもの入学金のために積み立てている貯金は、そのまま継続する必要があります。しかし、老後に向けての資産形成は必要であり、その枠を新たに確保する必要があります。

 そのため、ほとんどの人にとって、投資を考えるということは「節約」を意識することなのです。そして、節約を実現するために必要なのは、家計の可視化、家計管理です。