気候変動と安全保障と経済のカンケイ
少しナーバスな気もしますが、各国それぞれの課題や思惑があり、温室効果ガスの削減目標を理想論とは片づけられない事情があるようです。
地球温暖化の影響で海水面の上昇や雨量の変化が考えられますが、例えば、ドイツのハンブルグの港湾岸地域では、こうした環境変化を見越して、公共建築、民間建築を問わず、高潮対策で居住スペースを海抜から7.5mよりも高い位置に設けるよう規制しています(財団法人 国土技術研究センター「欧米諸国における治水事業実施システム-気候変化を前提とした治水事業計画-」には、この他にも詳しい事例が記されています)。
米国のトランプ大統領は気候変動問題には無関心ですが、オバマ前大統領は関心が高く、レオナルド・ディカプリオ主演のドキュメンタリー『地球が壊れる前に ~ディカプリオの黙示録~』では、気候変動の問題を「安全保障上の問題だ」と言及しています。
気候変動と安全保障はすぐには結び付かない概念ですが、気候変動による海面上昇や飢きんなどが発生すると難民が生じ、国境を越えて移動すると、国家間の紛争の火種になるといった問題が発生するという意味のようです。それだけ、世界的には気候変動に対する意識が高いということです。
日本では、昨年9月に台風15号、10月に台風19号が上陸し、甚大な被害をもたらしました。水害による被害額は2018年、2019年と2年連続で1兆円を突破。そして、2019年は観測史上最も暖かい1年でした。今後も気候変動の影響でさらに台風や大雨の被害が増加するという予測が増えています。