世界大手とワクチン製造受託契約を締結、新たな支援材料に

現地コード 銘柄名
02269

薬明生物技術

(ウーシー・バイオロジクス)

株価 情報種類

 118.90HKD
(2/19現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 薬明生物技術と上海海利生物技術(603718)の合弁会社であるWuXi Vaccines Ireland Limited(藥明海徳)が、ワクチンの世界大手から20年間のCDMO(医薬品開発製造受託)契約を獲得した。これに伴い、WuXi Vaccines Irelandはアイルランドに専用施設を建設し、22年に稼働を開始する計画。BOCIは翌23年に売り上げ貢献(約1億-1億5,000万米ドル)が期待できるとみて、薬明生物技術の目標株価を大きく引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。

 薬明生物技術の2月18日の発表によれば、WuXi Vaccines Irelandはワクチンの世界大手(社名未公表)と戦略提携し、約30億米ドル規模に上る20年間のワクチン製造契約を結んだ。アイルランドの専用施設で開発製造を手掛け、世界市場向けに製品を供給する。薬明生物技術にとっては、新たな成長事業が加わることを意味する。

 同社の最近の取り組みやビジネスの発展状況は、他に以下の通りとなっている。【1】二重特異性抗体の技術プラットフォームWuxiBodyにおける協業。スペインのアルミラル(Almirall)および甫康健康科技(Convalife)と提携した。【2】新型肺炎COVID-19の多重中和抗体の開発・製造に向け、100人強のR&Dチームを立ち上げた。

 19年6月末時点で同社が持つ統合プロジェクト数は224件(臨床前が116件、臨床フェーズ1が75件、フェーズ2が27件、フェーズ3が15件、商用化段階が1件)。臨床試験の後半段階へのシフト(フェーズ3が最大の収入創出段階となる)や商用化により、製造受託収入やマイルストーン収入(開発が一定程度進んだ段階で得られる収入)、ロイヤリティー収入(製品販売後に売り上げに応じて支払われる使用料)の上乗せが見込まれ、BOCIは売上構成の多様化や利益率の向上が期待できるとしている。

 一方、20年の潜在的な支援材料やイベントは以下の通り。【1】WuxiBodyの発展。自社目標は19年、20年にそれぞれプロジェクト10件、20件の実施。年内に米FDA(食品医薬品局)から、初のIND(臨床試験実施用の申請資料)承認を取得する可能性がある。【2】フェーズ3のプロジェクトは15件を数え、うち一部は中国国家薬品監督管理局と米FDAの認可待ちの段階(哈爾濱誉衡薬業のPD-1 mAbとグラクソ・スミスクラインのPD-1 mAb)。20年中には、基石薬業(02616)のPD-L1とアミカス・セラピューティクスのATB200について、BLA(生物学的製剤承認申請)申請が見込まれる。

 BOCIは新たなCDMO契約を受け、22-28年の予想売上高を7-10%増額修正。20年予想をベースに、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づいて目標株価を引き上げた。新たな目標は21年予想PERで74倍。向こう3年の利益成長率については年率平均45%を想定した。一方、同社の潜在リスク要因として、BOCIは生物製剤のアウトソーシング需要やプロジェクト成功率(臨床リスク)の変動を挙げている。