投資信託を個人の投資に用いる条件が整ったこともプラス

 ところで、この投資信託というマネーハック、個人が投資の選択肢として用いる環境が整ったことで成立したハックであることも、最後に付記しておきたいと思います。

 というのはツールとして個人の使いやすいものだったとしても、利用条件が悪いならそれはマネーハックとしては二流だからです。投資信託が銀行などでも販売されるようになった2000年頃と比べ、「商品性の多様化」「手数料の低廉化」が実現したからこそ、オススメできるマネーハックになったのです。

 まず商品性の多様化です。かつては海外に投資をしたいと思ったら、とある投資信託しか選択肢にのぼらないという時代がありました。FP(ファイナンシャル・プランナー)がみんなオススメしているのではなく、「その投資信託しか選択肢がない」のような状態だったのです。今では国内外に分散投資をしたり新興国に投資をしたり不動産投資をしたり、さまざまな選択肢が提供されており、個人にとっては便利な状況になっています。

 そして手数料の低廉化です。つみたてNISAのための適格要件が手数料を引き下げることであった流れもあり、多くの投資信託が信託報酬(運用管理費用)を引き下げました。かつてはインデックス・ファンドで国内株に投資をしようとすると年0.7%はかかりましたし、国内外に分散投資をすれば年2.0~3.0%というような投資信託もザラにありました。

 今では年0.2%台で国内外に分散投資できるわけですから、その分私たちにとってはローコストの運用が手元のリターンを高めるチャンスに転嫁されていることになります。

 もちろん、つみたてNISAやiDeCoといった税制優遇口座も個人の資産形成を後押ししています。

 マネーハック目線で考えれば、投資信託をあなたの資産形成に活用しない手はない、といってもいいでしょう。投資信託未活用だった人はぜひ、2020年はあなたの資産形成に上手に投資信託を活用してみてください。

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