相続開始から3年以内に行われた贈与は相続財産に

 親が高齢もしくは体調が思わしくないなど相続まであまり間がない場合は、この贈与には少し注意が必要です。相続開始から遡って3年以内に法定相続人に行われた贈与については、相続財産に戻して相続税を計算せよ、というルールがあります。

 たとえば現金50万円の贈与を受けた場合には、贈与税の非課税枠内なので贈与税はかかりません。しかし、3年以内の贈与財産の加算対象になりますので、現金50万円を相続財産に加算し、相続税を再計算することになります。贈与税の非課税枠を超えて贈与税を払っていた場合は、相続税を再計算した後に、贈与税として支払った額が控除されますので二重課税となることはありません。しかし、相続が差し迫っているタイミングでの贈与は効果がなくなってしまう可能性があるのです。

 贈与をする場合は、相続発生が迫っているような段階で行わず、3年以内の持ち戻しがあっても節税効果が出るように、余裕を持って計画的に行う必要があります。

(大久保 栄吾/税理士法人大久保会計 税理士)

※この記事は2016年4月1日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。

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