11人のファンドマネジャー・モデル

 状況を分かりやすく説明するために、投資家は、11人のファンドマネジャーだけで、彼らが運用パフォーマンスの競争をしているという状況を考えてみよう。この中の、1人が(ミスター・アベレージと名付けよう)、アクティブに運用する残り10人(アクティブ10人衆と名付ける)のポートフォリオを知ることができて、彼らの「平均」(以下、正確には金額加重平均)のポートフォリオで運用することに決めたらどうなるだろうか。

架空世界「11人のファンドマネジャーだけの市場」

 ミスター・アベレージの身に起こるのは、以下のような状況だ。

(1)単年のパフォーマンスでは、ほぼ毎回「無難」な結果が出る。順位の期待値は11人中6番前後だ。相対的にひどく悪くはなりにくいので、スポンサーからクビにされるリスクはごく小さい。

(2)残りの10人はお互いに持ち株を売買するが、ミスター・アベレージは売買の必要がない。長期的には売買に掛かる手数料が無い分だけ、ミスター・アベレージのパフォーマンスが有利になる。長期的には、11人中6位よりもかなり上位に来る公算が大きい。

(3)ミスター・アベレージのポートフォリオは、傾向として他の10人よりも投資銘柄とウェイトが分散化されたものになるので、「シャープ・レシオ」(金利を超過するリターンをリターンの標準偏差で割った比率)パフォーマンス指標による評価で有利になる。

(4)加えて、ミスター・アベレージの運用手数料が、他の10人のアクティブ・マネジャーたちよりも安いとしたらどうだろうか。ミスター・アベレージは顧客が得るリターンで見たパフォーマンス評価上ますます有利な立場に立つ。

 そして、ミスター・アベレージのポートフォリオは、全上場銘柄で構成し時価総額ウェイトで作った株価指数に連動するインデックス・ファンドと同じだ。