宿題1のヒントとよもやま話

宿題1.「サンクコスト」という言葉を使って気のきいた文を作ってください。

◆サンクコスト
 日常語としてはあまりポピュラーではない言葉かも知れない。筆者の手元にある普通サイズの国語辞典には載っておらず、「広辞苑」に、次のような解説が載っていた。

▼サンクコスト【sunk cost】

(1)[経]事業に投下した資金のうち、事業の撤退または縮小によって回収できない費用。(2)ある問題について複数の解決策が提案されたとして、どの解決策を採用しても金額が変化しない原価。無関連原価。埋没原価。埋没費用。(「広辞苑」第七版1212ページより)

 率直に言って不必要に難解な説明だが、要は、これから取り戻すことのできない費用や損のことだ。経済的な意思決定にあっては、「決定によってこれから生じるであろう損得のみ」を考えてどうするかを選択することが正しいとされる。

 例えば、1,000円で買った株が800円に値下がりしたとしよう。この株式をどうするかについて考える際に、「1,000円で買った」という事実は無関係だと思うべきなのだが、これは心理的にはなかなか難しい。

「そうだ。200円の損はサンクコストなのだ。自分の買い値は忘れて、現在800円のこの株をどうするのがいいか…」と意識的に考えるようになるといいのだが、なかなか難しい。新聞などで、たまに見かける株式投資などの相談にも、「○○工業の株式を取得価格×××円で△千株持っています。今後の処置は?」といった問い合わせが載っていることがある。

 投資家として大事なことは「サンクコストの意識的な無視」なのだが、さて、それが難しいというあたりも含めて、気の利いた文を作ってみて欲しい。100字以内としたが、例えば川柳(17文字)でもいい。

 こうして考えてみると、有名なサラリーマン川柳のように、「投資川柳」を募集するのが面白かったような気がしてきた。来年の年末は、これで行こうか。