「トルコリラ急落」はなぜ起きたのか

 では、どこで買うべきか? その前に「トルコリラ急落」はなぜ起きたのかを見てみましょう。それを知っているか、いないかでは大きな違いがあります。

 2018年8月。それまで23円台後半で取引されていたトルコリラ/円は15円台半ばまで大暴落。いわゆる「トルコショック」と呼ばれる事件が発生しました。背景は、米国人牧師を拘束するトルコに対して、トランプ大統領が経済制裁を発動したこと。

 2019年には、米軍がシリアから撤退したことに乗じてトルコ軍がクルド人攻撃を目的に同地域に軍事侵攻。トルコにとっては、クルド人はテロ組織という位置づけですが、欧米にとってはイスラム国と最前線で戦った味方。トルコの行動は各国から批判を浴び、トランプ大統領は、またもトルコに対して経済制裁を発動しました。この時トルコリラ/円は18円台後半から前半まで下落。

 つまり、トルコリラの急落は、対米関係と密接にからんでいるのです。米国の経済制裁がトルコ経済をさらに悪化させるという思惑で投資マネーが流出、トルコリラ急落となってあらわれているのです。

 米国とトルコの関係は修復したとはいえず、2020年も、いずれかの時点で暴発するリスクがあります。トルコ軍がクルド人を再攻撃する可能性は高いといわれています。さらにトルコは、NATO(北大西洋条約機構)のメンバーでありながら、NATOの「仮想敵国」であるロシアからミサイル防衛システムを購入するなど、欧米同盟国の神経を逆なでするような行動をとっています。