米国の大統領選挙は、ふたを開けるまでわからない

 第二に、大統領選挙です。政治が市場に与える影響は非常に大きい一方で、選挙というのはふたを開けて見るまで分からないという、市場にとっては非常に厄介なイベントです。2016年6月のように、イギリスのEU(欧州連合)離脱(いわゆるBrexit)の是非を問う国民投票で、離脱支持がまさかの過半数となったり、同年11月には大方のメディアがクリントン圧勝と見ていたのに、結果はトランプ勝利となったりということが起こり得ます。2020年の大統領選挙に向けては、歴史的に現職有利という要因に加えて、民主党のまとまりのなさがあまりに目立つため、現時点で民主党候補勝利のチャンスはないように見えます。しかしやはり選挙のこと、ふたを開けるまで何が起こるか分からないので、世論や可能性が上下するにつれて、株式相場も上下することになるでしょう。繰り返しになりますが、これも選挙が終わるまでの「リスク」であって、成長率に影響を与える要因ではありません。

 第三に、これはこの10年ほど、私が毎年必ず挙げるリスクは、「リスクを取らないリスク」です。リスクというのは価格変動のことですから、確かに短期で買ったり売ったりする人にとっては重要なのかもしれません。

 人間は基本的にリスクを回避したい生き物ですから、放っておくとリスクを感じる時間を短くするために、短期売買に向かっていく傾向があります。しかし市場が効率的であれば、リスクの裏にあるのがリターンです。市場を動かす要因には様々なものがありますが、それが「リスク」だと判断できれば、長期で投資する限り、恐れるべきものではないはずなのです。

 少なくとも、日本で起こっている人口減少という致命的な問題ではないのです。その要因が成長率に与える要因ではなく、リスクに与える要因と判断できれば、それに向かう勇気を持たないことがリスクというのは、これまでもそうであったように、2020年も不変だと思います。(2019年12月13日記)