過去6年の原油の動きを振り返り
原油需給がどう変化し、原油価格がどう動いてきたか、より長い年月で解説します。
WTI原油先物(期近)の動き:2014年1月2日~2019年12月11日
原油価格は、世界の原油需給のバランス変化によって動いています。需要は年々安定して増加していますが、供給はさまざまな要因で増えたり減ったりします。その結果、原油は供給過剰や、需要過剰になって、乱高下しています。グラフの<1>から<6>の動きを、以下に説明します。
<1>2014年に原油価格が急落
2013年まで原油の世界需給は、日量50万バレルの需要過剰でしたが、2014年に日量90万バレルの供給過剰になったため、原油価格は急落しました。米国でシェールオイルの生産が拡大したことが、供給過剰を招きました。
<2>2015年後半に原油価格が再び急落
2014年の原油急落で、米国のシェール油田でコスト割れが増えました。2015年前半は、シェールオイルの生産が減る思惑から、原油が反発しました。しかし、15年後半は中東原油が増産され、供給過剰が日量2百万バレルまで拡大したために、原油価格が再び急落。高コストの米シェール油田は廃業に追い込まれたものの、低コストのシェール油田が増産したために、シェールオイルの生産はあまり減りませんでした。
<3>2016年に原油価格が反発
米シェールオイルの生産がようやく減り始めたこと、OPECが減産に向けて話し合いを始めたこと、世界需要が順調に拡大したことを受け、原油需給が徐々に改善に向かい、原油価格が反発しました。11月にOPEC+ロシアが減産で合意すると上昇に弾みがつきました。
<4>2017年後半~18年9月まで上昇継続
OPEC+ロシアの減産継続で、需給がしまり、原油価格が上昇。米国がイラン産原油の禁輸を宣言したことも、上昇に拍車をかけました。
<5>2018年10月~12月、急落
イラン産原油禁輸の適用除外に、日本などが指定されると、原油先物は急落。中国景気減速による需要鈍化も、売り材料に。
<6>2019年1月~12月
米中貿易協議が何らかの落としどころに落ち着く期待から、原油価格は反発。米国によるイラン産原油の禁輸措置が6月から発動されたこと、OPEC+ロシアの減産が継続していることも原油価格の上昇に寄与しました。
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