3 三菱商事(8058・東証1部)

▼どんな銘柄?
 総合商社の一角で、鉄鋼の原料となる原料炭の市況動向が業績に与えるインパクトは大きいです。資源関連株の代表的な銘柄の一つであり、株価は原油や銅など資源価格の動きと連動しやすい傾向にあります。

 ローソンの親会社でもあります。足元では、オランダのエネルギー会社を約5,000億円で買収すると発表しました。

▼業績見通し
 2020年3月期純利益は5,200億円で前期比12.0%減益の見通しです。従来予想の6,000億円からは下方修正されています。原油デリバティブ取引での損失もありますが、原料炭事業における市況の下落が業績下振れの最大の要因となっています。

 なお、上半期決算時点で通期の配当金予想は引き上げています。

▼ここがポイント
 相対的に2021年3月期の減配の可能性が低いことは注目されます。また、現在は大規模な自社株買いの実施中でもあるなど、こうした株主還元策は株価の大きな下支えと位置付けられます。

 株価の本格上昇には、中国景気の回復期待の高まり、それに伴う資源価格の上昇が必要となるでしょう。

4 丸紅(8002・東証1部)

▼どんな銘柄?
 総合商社の一角で、取扱量トップを誇る穀物事業、電力事業などに強みを持っています。

 11月には、米国航空機リース事業会社のエアキャッスルを約1,275億円で買収すると発表、来年度の業績寄与が期待されます。

▼業績見通し
 2020年3月期純利益は2,400億円で前期比3.9%増益の見通し。期初の計画から変更はされていません。電力やエネルギー事業が減益となりそうですが、鉄鉱石市況の上昇を背景に金属事業が上伸しけん引役となる見通しです。

 資源価格の低下で下方修正も目立つ総合商社業界では相対的に底堅い業績推移といえるでしょう。

▼ここがポイント
 海外事業会社の一部には減損損失発生などのリスク要因も残るといった見方はありますが、資源価格が低迷して、総合商社の事業環境が悪化する中では、当社の業績の安定性には関心が向かうと考えられます。

 配当利回りが高いほか、ここ数年は増配傾向が続いていることなどからも買い安心感は強いでしょう。

5 住友化学(4005・東証1部)

▼どんな銘柄?
 総合化学大手の一角です。相対的に石油化学事業のウェイトが低い一方で、農薬事業は国内トップの実績、また、医薬品事業では子会社に大日本住友製薬を抱えています。サウジアラビアでは同国の国営石油会社であるサウジ・アラムコと合弁で、石油精製・石油化学事業を行うペトロ・ラービグも展開しています。

 他の化学大手と比較すると、短期的なコストアップにつながる原油市況上昇のマイナス影響は受けにくい収益構造になっています。

▼業績見通し
 2020年3月期コア営業利益(営業利益から特殊要因として発生した損益を控除)は1,600億円で前期比21.7%減益の見通しです。従来予想の2,050億円から期中で下方修正されています。

 情報電子化学や医薬品事業は堅調ですが、市況下落の影響で石油化学事業の収益が落ち込み、健康・農業関連事業も伸び悩む見通しです。

▼ここがポイント
 会社側では期中に期末配当金予想を未定に変更しています。このため、さらなる業績下振れがあった場合、今期の配当利回りは低下する可能性に注意が必要となります。また、先の話ですが、2024年3月期は、医薬品事業における主力薬「ラツーダ」の米国特許切れにより、同事業は大幅な減益になると見込まれています。

 一方、有機EL、全固体電池、5Gなど成長市場での展開力は今後も注目材料となりそうです。