12月は来年への期待感も背景に、堅調に推移?

 12月の株式市場は堅調な動きが続くと期待しても良いと考えられます。比較的、年末相場は翌年の株式相場への期待感を反映しやすくなりますが、特に2020年は東京五輪の開催などもあって、市場ムードが高まりやすくなると考えられます。

 また、年後半には米国大統領選挙も行われることで、その前に相場を崩すような政策がとられる可能性も低いとみられます。

 目先の焦点となるのは、対中関税引き上げの期限とされる12月15日までに、米中貿易協議で何らかの合意がなされるのかどうかです。

 追加関税の実施は短期的に米中両国の経済情勢を悪化させますが、12月2日に発表された米国ISM製造業景気指数(株価との連動性が高いともされる経済指標)は市場の予想を大幅に下振れる内容となっており、さらなる景気悪化を想定させる対中関税の実施は行われない可能性が高いでしょう。

 物色動向としては、米国の年末商戦の立ち上がりが順調と伝わっていることで、ゲームや家電などの米個人消費関連株が注目されそうです。

 また、来年の注目テーマなどが話題となりやすいタイミングでもあるため、電気自動車や自動運転、5Gなどに絡んだテーマ株の動きなども注目されます。

金利上昇時は高配当株のパフォーマンスが高くなる

 今回は大型株の高配当利回り銘柄を取り上げました。株式市場の先高期待を背景とする機関投資家の資金流入増を想定すると、長期投資を見据えた大型株の妙味が強いと判断されます。

 業績が拡大傾向にある銘柄は減配の可能性が低いと考えられるため、スクリーニング要件に経常利益変化率を加えました。また、ROE(自己資本利益率)を加えたのは、あまりこの数字が低いと外国人投資家の投資対象とならない可能性があるためです。

 金利が上昇する際は、成長株と比べてバリュー株(低PER[株価収益率]株や高配当利回り株など)のパフォーマンスが高まりやすくなります。上昇する金利水準と比較して高い利回りや益回り(PERの逆数でPERが低ければ高くなる)の銘柄に関心が高まるためです。

 また、バリュー株の代表である銀行株が、金利の上昇による利ザヤの拡大期待で買われるため、それにつられて他のバリュー株が押し上げられる側面もあります。

 米国の利下げスタンスには打ち止め観測が強まりつつありますが、米中貿易協議に前進が見られれば、こうした見方が一段と強まることによって、米金利は上昇基調を鮮明化させる余地があります。これは、高配当利回りなどのバリュー株の活躍余地を広げることにつながるでしょう。