積立投資は悪くない

「ドルコスト脳」とは、筆者が最近思いついた言葉だが、「売買単価」にこだわって投資の意思決定を考える思考を指す。「それは止めた方がいい」というのが本稿の主旨だ。

 さて、はじめに断っておくが、筆者は、結果的にドルコスト平均法的な投資となる、定額の積立投資に反対しているわけではない。つみたてNISA(少額投資非課税制度)のような制度は大いに活用するといい。

 定額での買い付けを定期的に行うことは、計画的な貯蓄行動として優れており実行しやすいし、これを投資に結びつける点でも優れている。本稿の結論として、「その時その時に最適だと思う金額の投資ポジションを持て」と述べるのだが、この結論との関係で言うと、定額でリスク資産を購入した状態が自分にとってのそのリスク資産の新たな最適額なら問題ないということだ。

 例えば、先月まで毎月3万円の積立投資を続けてきて、先月のリスク資産額(時価評価額)が100万円だったとしよう。今月分の積立額3万円があるとした場合、今月は103万円が最適額なのだと理解して予定通り3万円投資するといい。

 このケースでは、おそらくもっと大きな額を投資しようと思っているが、当面投資に回すことができるお金が、これまでの100万円と今月分の3万円なのだから、今の最適投資額を103万円でいいと理解するのだ。

 ただし、103万円が最適な理由は、3万円の購入がドルコスト平均法になっているからではなく、単に無理なく投資できるお金が今月は3万円で、なるべく大きく投資したいと思っているからだと理解するべきだ。