19年7-9月期決算は予想上振れ、ネット出前の取引増やシェア拡大を評価

現地コード 銘柄名
03690

美団点評

(メイトゥアン・ディエンピン)

株価 情報種類

91.90HKD
(11/22現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 美団点評の19年7-9月期決算は、コア純利益が前期比30%増の19億元と市場予想やBOCIの予想を大きく上回った。新規ビジネスの赤字縮小やネット出前サービスの効率化、レストランなどの店舗予約サービス業務の利幅改善を受けた全体的な利益率の向上が背景。売上高は前年同期比44%増の275億元と、主に出前の取引量の伸びを受け、BOCIの予想を5%上回った。BOCIはグルメサービス市場における同社のシェア拡大を前向きに評価するとともに、広告のマネタイズ(収益化)や効率化を背景とした利益率のさらなる拡大を予想。目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 ネット出前サービス部門のGTV(総取引額)は7-9月に前年同期比40%増の1,120億元とBOCIの予想を5%上回った。クーポン付与や会員特典による注文頻度の向上で、主要都市部における市場シェアが拡大。その結果、取引量の伸び(前年同期比)は4-6月の35%から、7-9月には38%に加速した。出前部門の売上高は39%増の156億元。収益化率(monetization rate:売上高÷取引総額)は13.9%と、補助金比率の上昇で前年同期比0.1ポイント低下したものの、前期比では0.1ポイント上向いた。

 出前部門の7-9月の売上高は156億元で、コア営業利益は3億元。一方、最大のライバルであるアリババ集団(09988)の消費者サービス部門(出前「餓了麼」と生活情報「口碑」)を見ると、売上高は前年同期比36%増、前期比11%増の68億元。利用者の囲い込みを通じた美団点評のシェア拡大傾向が続いた。

 店舗・ホテル・旅行手配部門の売上高は、7-9月に前年同期比39%増の62億元と、BOCIの予想通り。ホテル予約業務では予約対象となった国内客室数(宿泊数)が44%増。中小都市部や高級ホテル部門の強化が寄与した。

 一方、新規ビジネス部門は、7-9月のコア営業損失が11億元。配車やシェア自転車事業の赤字縮小を受け、予想(18億元)より小幅の損失にとどまった。シェア自転車に関しては、自社ロゴ入りの新車の投入や利用システムの切り替えが推進中。顧客獲得という点で、主力の出前サービスとのシナジー効果が見込まれる半面、投資額の増大が響き、19年10-12月と20年には赤字拡大が見込まれるという。

 同社全体の19年通期決算について、BOCIは黒字化を見込み、通期のコア純利益見通しを23億元とした。また、店内・旅行部門の予想利益率の引き上げに伴い、20年、21年のコア利益見通しを2-3%増額修正している。

 BOCIはこれに伴いディスカウントキャッシュフロー方式に基づく目標株価を定め、新たな目標株価は20年、21年の予想PER(コア利益ベース)で59.9倍、29.6倍。株価の先行きに強気見通しを継続した。一方、潜在リスク要因として出前市場における競争激化や景気減速下での消費意欲の萎縮、買収絡みの減損損失計上の可能性を挙げた。