アルプスアルパイン

1)2020年3月期2Qは、1%増収、24%営業減益

 アルプスアルパインの2020年3月期2Q(2019年7-9月期)は、売上高2,224億2,300万円(前年比0.6%増)、営業利益156億5,200万円(同23.9%減)となりました(2019年1月1日付で、アルプス電気とその上場子会社であるアルパインが経営統合し、アルプスアルパインとなった)。

 主力事業である電子部品事業が、売上高1,230億円(前年比5.2%減)、営業利益107億円(同31.0%減)となりました。電子部品事業売上高のうち、民生その他市場向けは606億円(同0.2%減)と横ばいでしたが、この中に含まれるスマホカメラ用アクチュエーターが、アクチュエーターの搭載率が高い北米スマホの減少が響き減収となった模様です(電子部品メーカーは個々の顧客の動向についてコメントしませんが、スマホメーカー各社のスマートフォンのスペックを調べることで推定しました)。

 また、車載市場向けは売上高623億円(同9.6%減)となりました。自動車市場の減速が響きました。

 この結果、電子部品事業の今2Q営業利益は大幅減益となりました。ただし、2Qは季節的にスマホ増産の時期になるため、今1Q比では増収増益となりました。

表5 アルプスアルパインの業績

株価:2,380円(2019/11/21)
発行済み株数:204,658千株
時価総額:487,086百万円(2019/11/21)
単位:百万円、円        
出所:会社資料より楽天証券作成        
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益  
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの

表6 アルプスアルパインのセグメント別損益:四半期ベース

単位:億円        
出所:会社資料より楽天証券作成        
注:端数処理の関係で合計が合わない場合がある 

表7 アルプスアルパインのセグメント別損益:通期ベース

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成
注:端数処理の関係で合計が合わない場合がある

2)2020年3月期通期会社予想は上方修正の可能性がある

 2020年3月期通期の会社予想業績は、売上高8,590億円(前年比0.9%増)、営業利益485億円(同2.3%減)です。今年9月に発売された「iPhone11」シリーズが、低価格機種中心に予想外に売れている模様であること、中国、韓国スマホが順調に売れており、中国スマホのアクチュエーター装着率が上昇している模様であることなどから、今上期の大幅減益を下期の増益で埋め合わすことができる可能性があります。

 また、会社側は例年スマホとスマホ向け電子部品の不需要期である今4Q(2020年1-3月期)を保守的に見ている模様ですが、2020年はスマホの拡販を特に中国市場で目指すスマホメーカーが多いため、今4Qは例年ほどスマホ向け電子部品が落ち込まない可能性があります。

 また今期はスマホ向けタッチパネルが好調です。

 一方で、自動車向けは、会社予想よりも悪化する可能性があります。

 これらを総合的に見ると、今期は会社予想よりも若干の上方修正になる可能性があります。楽天証券では、2020年3月期業績を、売上高8,630億円(前年比1.4%増)、営業利益515億円(同3.7%増)と予想します。

3)2021年3月期以降はスマホ向けアクチュエーターの伸びに期待したい

 2021年3月期からは、5Gスマホが本格的に成長期に入ると予想されます。そのため、スマホカメラも多眼化と高性能アクチュエーター(手振れ補正用など)の搭載が進むと予想されます。

 自動車向けには期待しにくいものの、5Gスマホの伸びが寄与することで、業績は成長に向かうと予想されます。楽天証券では、2021年3月期業績を売上高9,060億円(前年比5.0%増)、営業利益650億円(同26.2%増)と予想します。

 今後6~12カ月間の目標株価を3,200円とします。2021年3月期楽天証券予想EPS (1株当たり純利益)160.3円に想定PER(株価収益率)20倍を当てはめました。投資妙味を感じます。

本レポートに掲載した銘柄:ソニー(6758)アルプスアルパイン(6770)