◆執筆者

風呂内亜矢(ふろうち あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®認定者

「老後資金」の準備には、ある程度の時間がかかる

「お金」に関する話題で、2019年に最も注目されたのは「老後資金2,000万円問題」でしょう。「ホントに老後資金は2,000万円必要なの?」と問われれば、YESともNOとも言えません。ずっと厚生年金に加入している共働き夫婦なら、そこまで貯蓄しなくても、何とかなるパターンが多いでしょうし、独身でも、夫婦の片方のみ厚生年金に加入する世帯でも、2,000万円もいらないケースはありそうです。

 ただし、逆に2,000万円でも足りないパターンもあります。つまり、「老後資金2,000万円」という数字は、さまざまな平均値から割り出された目安に過ぎず、人それぞれ、老後に用意すべき金額は異なるのです。

 今回は、以上の前提を踏まえたうえで、「老後資金の準備の仕方」についてお話しします。老後資金がいくら必要になるとしても、ある程度の時間をかけて準備するのが大前提であることに変わりはありません。

 準備の仕方としては、ざっくり分けると「預金(あるいは財形など)で貯める」「投資する」という選択肢があります。「投資」については後編で触れるので、先に「預金」という選択について考えていきます。

 預金で準備する場合、仮に“目安”の老後資金である2,000万円を、一般的な定年にあたる65歳までに毎月の積立で貯めようとすると、貯蓄のペースは以下のようになります。

20代の人⇒月3~4万円ずつ積み立て
30代の人⇒月5~6万円ずつ積み立て
40代の人⇒月7~9万円ずつ積み立て

 40代の人はもちろんですが、20代でも、金額的になかなかハードルが高いことが分かります。多くの人は、マイホームや結婚資金、子どもの教育費など、さまざまな目的を持ってお金を貯めるもの。老後資金のために、これだけの金額を割き続けるのは至難のワザです。

 それでも、何とか理想に近づけるには、やっぱり節約が必要でしょう。私がおすすめしたいのは、固定費を中心として、お金の使い方を見直すこと。それから、“節約に効くサービス”をフル活用することです。次から詳しく説明します。