197-9月期はフィンテックが好調、ゲーム部門では海外市場の貢献が拡大

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

 327.40HKD
(11/14現在)

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 テンセントの19年7-9月期の売上高と純利益(非GAAP)はBOCIの予想を1%、市場コンセンサス予想を2%ほど下回る数字となった。事業別ではフィンテックおよび企業向けサービス(FBS)部門の売上高が前年同期比36%増と、BOCIの予想を上回ったものの、付加価値サービス(VAS)部門、広告部門の増収率は15%、13%と、予想に届かなかった。非GAAPの純利益率も25.1%と、BOCIの予想25.2%を小幅に下押しした。ただ、BOCIはFBS部門の粗利益率が27.7%と、前期比で3.7ポイント上昇した点に加え、オンラインゲーム収入に占める海外の比率が2桁台に乗せたことなどに言及。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月期には、FBS部門の売上高が前年同期比36%増の268億元に上り、売上構成比は28%。これは最大の収入源であるオンラインゲーム部門の37%に次ぐ比率となる。また、FBS部門の粗利益率は27.7%と、前期の24.0%、前年同期の25.2%(預り金から得られる利息を除外した場合は19.4%)から上向いた。粗利益率の改善要因は商取引の伸びがソーシャルや送金などの取引の伸びを上回った高利幅の金融サービスのクロスセル(セット販売)による効果。資産管理プラットフォーム「理財通」の利用者数は前年同期比で倍増したクラウドインフラを活用したビジネスソリューションの販売増。クラウド収入は前年同期比80%増の47億元に達したことなどだった。

 一方、オンラインゲーム部門ではグローバル化が進み、海外市場の売上比率が2桁に達した。同社が展開するモバイル・アクションゲームの人気が背景。例えば、「PUBG(プレイヤーアンノウンズ・バトルグラウンズ)モバイル」の海外の月間アクティブユーザー数は前年同期比で倍増。また、「CoD(コールオブデューティ)モバイル」は投入したその月にダウンロード1億回、売り上げ5,390万米ドルを記録している(センタータワー調べ)。BOCIによれば、海外は同社にとって、依然として未開拓市場。ニューズーの調べによれば、世界のモバイルゲーム市場は18年に564億米ドル規模。うち中国の割合は34%だった。

 メディア広告収入は7-9月に前年同期比28%増の365億元。マクロ経済の減速や業界全体の動画広告の低迷が響いた。ただ、同社はすでに最悪期を脱したとの認識を示している。ほかに、ソーシャル広告収入は32%増の147億元と好調だった。

 SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づいてBOCIが設定した同社の目標株価は、20年の予想PERベースで29倍(非GAAP)に相当する。一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは主要ゲームタイトルが予想以上に短命となる可能性、フィンテックおよびクラウド事業の利益率が正常レベルに達するまでに予想以上の時間がかかる可能性を挙げている。