バランスよくセクター分散することも大事

──今、米国株投資を始めるならまずは「FANG」銘柄(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)や「FAAMG」銘柄(フェイスブック、アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグル)を検討するという人も多いと思います。バフェット太郎さんはそうした、昨今、米国市場を席巻しているIT企業群の株は保有されていません。まあ、IBMはハイテク企業ですが。それには何か理由があるのですか?

2018年からキーワード化した米国のハイテク主要株「GAFA」(ガーファ)とはGoogle(アルファベット)、Apple、Facebook、Amazon.comの4社。Facebook、Amazon.com、Apple、Netflix、Googleの5社を「FAANG」(ファング)と呼ぶ。米国好景気をけん引する大企業だが、バフェット太郎さんは独自の哲学から、現時点でポートフォリオに加えていない。

 まずフェイスブックやアマゾン、アルファベット(グーグル)などは無配なので、投資する気はまったくありません。もちろん、キャピタルゲイン狙い(売却利益が目的)でそれらの企業に投資するのはアリだと思います。僕の場合は長期的な資産形成が目的ですから、配当金を出していない企業は対象外ということです。アップルやマイクロソフトは安定したキャッシュフローと配当が期待できるし、将来は連続増配株になる可能性も高いので、いつか投資する日がくるかもしれません。

──近い将来、「11種」、「12種」になる可能性もあると?

 それがアップルやマイクロソフトになるかどうかは別として、可能性はあります。

──では、10種のどれかを売却する可能性は?

 本業の儲けを表す営業キャッシュフローが減少していき、企業の競争優位性を示す営業利益率、もしくは営業キャッシュフロー・マージン(営業キャッシュフロー÷売上高)が低下し続けた場合、損切りを検討するかもしれません。

──コカ・コーラやマクドナルドが突如、競争優位性を失うというのは考えにくいですが…。

 今はそう思えても10年、20年というスパンだと何が起こるか分かりません。万が一のときの対処法を考えておくことは大事です。

──10銘柄を見ると、食品株、小売株、ヘルスケア株、エネルギー株、ハイテク株などいろいろなセクターに分かれていて、バランスが取れているように思えます。

 はい。そこは重要なポイントです。例えば一般消費財株やサービス株、素材株などは好況期には強いのですが、不況期には暴落する傾向にあります。ですから、それらの銘柄ばかりだと、不況が長引いたときに大きなリスクを背負うことになります。その点、生活必需品株やヘルスケア株など比較的不況に強いといわれるセクターの銘柄も組み入れておくと、多少リスクを回避できるわけです。

──タバコ銘柄を2つ(アルトリア・グループとフィリップ・モリス・インターナショナル)組み入れていますよね。これは理由があるのですか?

 僕は配当金を再投資するという手法を取っていますが、タバコ株はその戦略と相性がいいんです。タバコ株は安定したキャッシュフローを期待できるだけでなく、不人気セクターなので、株価の低迷が続くことも考えられます。そのときに、配当金で大量に再投資できる可能性があります。それが次の強気相場のアクセル(加速装置)となり、一気にリターンを押し上げることがあるわけです。

──だから、あえて組み入れているのですね?

 はい、ただし、弱点もあります。配当再投資による効果が表れるのに、少なく見積もっても10年かかります。そういう意味では短期的なパフォーマンスに目がいきがちな人は避けたほうが無難かもしれません。