コカ・コーラやマクドナルド、IBMなど何十年も増配を続けている米国の高配当企業10社に投資して確実に資産を増やしている、バフェット太郎さんインタビューの中編をお届けします。今回は、数ある大型銘柄のなかからその10銘柄を選んだ理由、また、最近、米国市場を先導するAmazonやGoogle、Appleなどを加えていない理由についても聞きました。

たとえ株価が暴落しても安心して保有できる

──2015年に日本株から米国株にシフトされたわけですが、米国株のどの銘柄を買うかはすぐに決まったのですか?

ほぼ毎日更新しているブログはファンも多いがアンチも多い。「バフェット太郎」でネット検索するとかなり激しい結果が…。ご本人は「アンチ上等」でまったく気にしていない様子ww

 最初はコロコロ銘柄を変えていましたが、半年後ぐらいに「よし、これでいこう」とポートフォリオを決めました。それを2016年1月にブログで公開しました。それから4年近く経ちますが、今のところ、いっさいいじっていません。

──それが、米国株を手掛ける個人投資家の間で広く知られる「バフェット太郎10種」ですね。具体的にいうと、ウォルマート、コカ・コーラ、アルトリア・グループ、フィリップ・モリス・インターナショナル、P&G、エクソン・モービル、マクドナルド、IBM、ベライゾン・コミュニケーションズ、ジョンソン・エンド・ジョンソンの10銘柄です。

 広く知られているかどうかはわかりませんが(笑)そのとおりです。

──でも、米国株に関するSNSなどでよく話題になっていますよ。「バフェット太郎10種」をどう思うかとか。賛否両論あるようで、だいぶ炎上しているのを見たことがあります(笑)。

 それぞれいろいろな考えがありますからね。「賛」はともかく「否」は無視するだけです(笑)。

──この10種に共通するのは「超大型連続増配高配当株」であるということですよね。

 はい。何十年も増配を続けている高配当企業ばかりです。不況で経営が苦しくても増配を続けてきた企業です。稼いだ利益は株主に還元するという姿勢を持ち続けている企業といってもいいかもしれません。だから、株価が暴落しても安心して保有し続けることができる、愚直に積み立て投資を続けられるわけです。

──10銘柄に絞るのはそうとう悩んだのではないですか?

 米国にはこの10銘柄以外にも「超大型連続増配高配当株」はたくさんありますからね。とはいえ、20銘柄も30銘柄も持っていたら、四半期決算を精査するのも大変ですし、きりのいい10銘柄に絞ることにしました。

バランスよくセクター分散することも大事

──今、米国株投資を始めるならまずは「FANG」銘柄(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)や「FAAMG」銘柄(フェイスブック、アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグル)を検討するという人も多いと思います。バフェット太郎さんはそうした、昨今、米国市場を席巻しているIT企業群の株は保有されていません。まあ、IBMはハイテク企業ですが。それには何か理由があるのですか?

2018年からキーワード化した米国のハイテク主要株「GAFA」(ガーファ)とはGoogle(アルファベット)、Apple、Facebook、Amazon.comの4社。Facebook、Amazon.com、Apple、Netflix、Googleの5社を「FAANG」(ファング)と呼ぶ。米国好景気をけん引する大企業だが、バフェット太郎さんは独自の哲学から、現時点でポートフォリオに加えていない。

 まずフェイスブックやアマゾン、アルファベット(グーグル)などは無配なので、投資する気はまったくありません。もちろん、キャピタルゲイン狙い(売却利益が目的)でそれらの企業に投資するのはアリだと思います。僕の場合は長期的な資産形成が目的ですから、配当金を出していない企業は対象外ということです。アップルやマイクロソフトは安定したキャッシュフローと配当が期待できるし、将来は連続増配株になる可能性も高いので、いつか投資する日がくるかもしれません。

──近い将来、「11種」、「12種」になる可能性もあると?

 それがアップルやマイクロソフトになるかどうかは別として、可能性はあります。

──では、10種のどれかを売却する可能性は?

 本業の儲けを表す営業キャッシュフローが減少していき、企業の競争優位性を示す営業利益率、もしくは営業キャッシュフロー・マージン(営業キャッシュフロー÷売上高)が低下し続けた場合、損切りを検討するかもしれません。

──コカ・コーラやマクドナルドが突如、競争優位性を失うというのは考えにくいですが…。

 今はそう思えても10年、20年というスパンだと何が起こるか分かりません。万が一のときの対処法を考えておくことは大事です。

──10銘柄を見ると、食品株、小売株、ヘルスケア株、エネルギー株、ハイテク株などいろいろなセクターに分かれていて、バランスが取れているように思えます。

 はい。そこは重要なポイントです。例えば一般消費財株やサービス株、素材株などは好況期には強いのですが、不況期には暴落する傾向にあります。ですから、それらの銘柄ばかりだと、不況が長引いたときに大きなリスクを背負うことになります。その点、生活必需品株やヘルスケア株など比較的不況に強いといわれるセクターの銘柄も組み入れておくと、多少リスクを回避できるわけです。

──タバコ銘柄を2つ(アルトリア・グループとフィリップ・モリス・インターナショナル)組み入れていますよね。これは理由があるのですか?

 僕は配当金を再投資するという手法を取っていますが、タバコ株はその戦略と相性がいいんです。タバコ株は安定したキャッシュフローを期待できるだけでなく、不人気セクターなので、株価の低迷が続くことも考えられます。そのときに、配当金で大量に再投資できる可能性があります。それが次の強気相場のアクセル(加速装置)となり、一気にリターンを押し上げることがあるわけです。

──だから、あえて組み入れているのですね?

 はい、ただし、弱点もあります。配当再投資による効果が表れるのに、少なく見積もっても10年かかります。そういう意味では短期的なパフォーマンスに目がいきがちな人は避けたほうが無難かもしれません。

米国株の場合、四半期ごとに配当金が支払われる

──バフェット太郎さんは10銘柄保有しているわけですが、それらはすべて均等に持っているんですよね。

 はい、どれも10%ずつ保有しています。

──日本企業の場合、配当金の支払いは年1回か2回ですが、米国企業は四半期ごと、つまり年4回支払うところが多いですよね。10社それぞれから年4回配当金が入るわけですから、たぶん毎月もらっているんだと思います。米国企業は支払い時期もバラバラですし。

 おっしゃる通りです。今は毎月10万円とか20万円とか入ってきます。

日本株と米国株の平均株価の差は歴然。最初から米国株を買ったほうがいい、とバフェット太郎さんは力説。
画像はバフェット太郎さん著書『バカでも稼げる「米国株」高配当投資』より

──実質、何もせずにお金をもらえるわけですよね。うらやましい限りです(笑)。

 ただ、最初からそれだけの金額をもらっていたわけではないですよ。前にいったように配当金の額は投資金額によりますから、最初のうちは微々たるものでした。投資額が増えるにつれ、少しずつ配当金が増えてきました。

──もらった配当金を再投資することで投資金額を増やしてきたわけですよね。配当金は全額、再投資してきたのですか?

 はい、全額です。

──その月に3社から配当金が入ったとしますよね。それぞれの銘柄に再投資するのですか。

 いえ、3社分まとめて10銘柄のなかで時価評価額がいちばん低い銘柄に再投資します。

──時価評価額がいちばん低い銘柄ですか?それはなぜ?

 すべて均等に保有しているわけですから、時価評価額がいちばん低いということは、直近の株価が値下がりしていておおむね割安だと判断することができるからです。割安なときに買えればそれだけリターンが期待できますから。

──なるほど。ちなみに配当金とは別に積み立ても行っているのですか。

 はい、一定額の積み立てを行っています。だから、正確にいえば積み立て+配当金によって資産を増やしています。

──では、次回は投資初心者が米国株を始めるとしたらどんなことに注意すべきかなどについてお伺いします。

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