分母が大きいほど大化け銘柄をつかむ確率が高まる

──ほかにも大量に保有する理由がありますか?

 いけすにたくさんの銘柄を入れておき、どれかが大化けしそうになったら、J3に昇格させて買い増しし、キャピタルゲインを狙うというのが私の戦法です。ですから、いけすにはできるだけ多く入れておいたほうがいいんです。分母が大きければ大きいほど、大化けする銘柄をつかむ確率が高くなるわけですから。少し前に話題になりましたけど、お笑いの吉本興業株式会社って何千人もの芸人を抱えているじゃないですか。アレってたくさん抱えていれば誰かしらがブレイクするからですよね。それと同じ理屈です(笑)。

──なるほど、吉本興業流ということですね(笑)。ただ、吉本興業でいうと、もう少し所属芸人を絞る手もあると思うんです。猫も杓子もではなく、ブレイクする可能性の高い芸人に厳選して契約する。そのほうが合理的のような気がしますが…?

 確かにそれも一理あります。でも、じゃあ、どうやって675銘柄を100銘柄に絞るかというと、これは簡単ではありません。いや、世の中には事業内容や経営方針、経営者の考え方などを調べれば、ある程度絞れるという人もいるかもしれません。けれど、私には自信がない。というか、どの銘柄が上がるかなんて誰も正確には当てられないと思うんです。事実、多くの専門家が推奨する銘柄が下落の一途をたどるとか、誰1人関心を示さなかった銘柄が突然、高騰するとか、珍しいことではありませんし。だとしたら、たいした根拠もなく100銘柄に絞るよりも、とりあえず持てるだけ持っておいたほうがいい結果を得られるのではないでしょうか。

投資を始めた2000年ごろに読んだ『生き残りのディーリング』(矢口新著/3,080円:税込)という本を再読してから投資手法がブラッシュアップされた、というみきまるさん。「損切りしろ、とにかく損切りしろ、と損切りの重要性をひたすら説いている一冊なんですが、最初に読んだときは、なんにも感じなかった。でも大負けを経験した後に再読すると、痛いほどその意味が分かりました(笑)。昔読んで響かなかった本も、後々読み返してみると、今度は心に沁みるかもしれませんよ」

──で、どうせ持つなら株主優待をもらえる銘柄のほうがおトクというわけですね。

 そういうことです。

──でも、1つ疑問があります。べつに保有していなくても、ブレイクしそうな銘柄を見つけたら、そのとき買えばいいだけの話なのでは?

 いえ、保有することに意味があるんです。どういうことかというと、たとえ100株でも持っていると、その会社がどんな状況に置かれているのかとか、やっぱり気になるんですよ。だから、たまに経営状況を調べたり、業績をチェックしたりする。つまり、保有しているからこそ、その会社の変化に早く気づくことができるんです。これはかなり大きなアドバンテージになります。

──なるほど。

 そういう意味では気になる銘柄を見つけたら、とりあえず1単元買っておくといいと思います。株価が上がるという確信が持てなくても、保有リストに加えておく。そうすると、その銘柄に関して何か動きが起きたとき、すみやかに対応できるはずです。

──先ほどみきまるさんがおっしゃったように、1単元なら万が一、株価が下がっても大きな損失にはなりませんしね。では、後編では、今現在、どんな銘柄を主力に据えているかなどについてお伺いします。

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