保有銘柄数、なんと「675銘柄」!なんでそんなに持ってるの?
人気投資ブログ『みきまるの優待バリュー株日誌』を運営する、みきまるさんインタビュー、中編をお届けします。「優待バリュー投資術」という独自の手法を用いるみきまるさんは、個人投資家としては異例ともいえるくらい、数多くの銘柄を保有しています。その数、実に675銘柄! 今回はなぜそれほど多く保有するのかを中心にお伺いしました。
675銘柄中600銘柄は「優待株いけす」に保管
──みきまるさんは保有株をJ1、J2、J3、「優待株いけす」の4つのグループに分けているとのことですが、それぞれ何銘柄くらいあるのですか。
Jリーグと違い、J1は18銘柄などと決めているわけではないので、そのときによって違います。現在はJ1とJ2が20銘柄くらい、J3が25銘柄くらいですかね。いけす内には…たぶん600銘柄くらいあると思います。
──600銘柄? スゴくないですか!?
今現在すべて合わせると675銘柄保有しています。確かに他の投資家の方々より多いかもしれないですね。
──いやいや、絶対多いです(笑)。そもそも優待銘柄って1,500くらいあるわけですよね。だとしたら全体の45%保有していることになりますよ。
これも他の人と違う点かもしれませんが、持ち株を全部売り払うということはあまりしないんです。何か好材料が見つかって株価が上がると思ったら、いけすからJ3グループに昇格させて買い増しすると言いましたが、当然、見込み違いということもあります。その場合も全部売り払うわけではなく、買い増しした分だけ売却していけすに戻すことが多い。だから、銘柄はどんどん増えていきます。
──675銘柄も持っていると株価が急落し、紙くず同然になってしまうようなこともあるのでは?
はい、なくはありません。そういうときはもちろん早めに処分します。
──売却のタイミングを見計らっていたら倒産してしまったなんてことは?
2008年と2009年にそれぞれ1つずつ、合計2つの銘柄が持ち株の状態で倒産しましたが、少額の投資だったため、実質的なダメージは最小ですみました。J1やJ2の主力銘柄ならともかく、いけすの銘柄はほとんど100株しか持ってませんから、仮に倒産しても大きな被害を被ることはないんです。
5月、6月には大量の優待が届く
──でも、なぜ675銘柄も持っているんですか。やっぱり株主優待がもらえるから?
もちろん、1つにはそうです。あと、配当金もありますし。
──毎年675社から株主優待が届くわけですよね。優待が届く時期になると郵便ポストがえらいことになってそうですね(笑)。
投資を始めたころに買ったものなど株主優待のない銘柄もほんの少しあるので、正確にいうと675に少し欠けます。でも、ほとんどの企業は5~6月に優待を発送するので、その時期は確かにとんでもないことになります。
──外食はほとんど優待でもらった食事券、日常の買い物も優待券や割引券を使い放題という感じでしょうね。優待の商品にはお米が多いので、たぶんお米は買ったことがないでしょうし(笑)。
はい(笑)。あと旅行も航空会社やホテルの優待券を使えるので、安く行けます。ただし、優待のよさは金銭面だけではないと思います。会社によっていろんなものが届くので、その時期になるとワクワクするんですね。これは稀有なケースですが、届いて箱を開けるまで中身がわからないサプライズ優待もありますし。そういう意味では日々の暮らしを豊かにしてくれるというか、そういう醍醐味もあります。
──優待生活を楽しんでいる?
はい、存分に楽しんでます。いきなり100銘柄も200銘柄も揃えるのは無理でしょうけど、ほとんどの優待は最小単元の100株でもらえますから、株式投資未体験の方は、優待でデビューしてみてはいかがでしょうか。
──675銘柄ともなると配当金もスゴそうですね。投資家なら誰もが憧れる「配当金生活」も可能なのでは?
大半は100株しか保有してないので驚くような金額にはなりませんが、普通に暮らすには十分すぎるくらいのお金が入ってくるのは事実です。ただし、本業も好きなので、当面仕事を辞めるつもりはないですが。
分母が大きいほど大化け銘柄をつかむ確率が高まる
──ほかにも大量に保有する理由がありますか?
いけすにたくさんの銘柄を入れておき、どれかが大化けしそうになったら、J3に昇格させて買い増しし、キャピタルゲインを狙うというのが私の戦法です。ですから、いけすにはできるだけ多く入れておいたほうがいいんです。分母が大きければ大きいほど、大化けする銘柄をつかむ確率が高くなるわけですから。少し前に話題になりましたけど、お笑いの吉本興業株式会社って何千人もの芸人を抱えているじゃないですか。アレってたくさん抱えていれば誰かしらがブレイクするからですよね。それと同じ理屈です(笑)。
──なるほど、吉本興業流ということですね(笑)。ただ、吉本興業でいうと、もう少し所属芸人を絞る手もあると思うんです。猫も杓子もではなく、ブレイクする可能性の高い芸人に厳選して契約する。そのほうが合理的のような気がしますが…?
確かにそれも一理あります。でも、じゃあ、どうやって675銘柄を100銘柄に絞るかというと、これは簡単ではありません。いや、世の中には事業内容や経営方針、経営者の考え方などを調べれば、ある程度絞れるという人もいるかもしれません。けれど、私には自信がない。というか、どの銘柄が上がるかなんて誰も正確には当てられないと思うんです。事実、多くの専門家が推奨する銘柄が下落の一途をたどるとか、誰1人関心を示さなかった銘柄が突然、高騰するとか、珍しいことではありませんし。だとしたら、たいした根拠もなく100銘柄に絞るよりも、とりあえず持てるだけ持っておいたほうがいい結果を得られるのではないでしょうか。
──で、どうせ持つなら株主優待をもらえる銘柄のほうがおトクというわけですね。
そういうことです。
──でも、1つ疑問があります。べつに保有していなくても、ブレイクしそうな銘柄を見つけたら、そのとき買えばいいだけの話なのでは?
いえ、保有することに意味があるんです。どういうことかというと、たとえ100株でも持っていると、その会社がどんな状況に置かれているのかとか、やっぱり気になるんですよ。だから、たまに経営状況を調べたり、業績をチェックしたりする。つまり、保有しているからこそ、その会社の変化に早く気づくことができるんです。これはかなり大きなアドバンテージになります。
──なるほど。
そういう意味では気になる銘柄を見つけたら、とりあえず1単元買っておくといいと思います。株価が上がるという確信が持てなくても、保有リストに加えておく。そうすると、その銘柄に関して何か動きが起きたとき、すみやかに対応できるはずです。
──先ほどみきまるさんがおっしゃったように、1単元なら万が一、株価が下がっても大きな損失にはなりませんしね。では、後編では、今現在、どんな銘柄を主力に据えているかなどについてお伺いします。
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