卒業生の進学先はカナダや豪州、昨今の「米国以外」志向が追い風に

現地コード 銘柄名
01317

中国楓葉教育

(チャイナ・メイプルリーフ・エデュケーショナル・システムズ)

株価 情報種類

 2.59HKD
(10/11現在)

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 中国では最近、学生が米国以外の国を留学先に選ぶ傾向が強まっている。米中摩擦の激化を受け、米国での就学に不透明要因が生じていることが背景。9月には英国への留学申請数が前年同月比30%増加し、カナダなどへの申請数も増えた。こうしたトレンドは、カナダやオーストラリア、英国を卒業生の進学先とする中国楓葉教育にとって追い風となる。また、BOCIは幼稚園、小学校、中学校、高校と、ピラミッド型の事業構造を持つ同社は、高校の入学者数の落ち込みをカバーすることが可能との見方。高校の在学生数を抑えることで進学枠が確保される形となり、小中学校の生徒募集にプラスになるとした。同社の現在株価は魅力的な水準にあるとし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中国から米国への留学に関しては現在、ビザの取得や敏感な問題に絡む一部専攻学科への進学において制約が存在しており、中国人学生は米国以外を目指す傾向を強めている。その結果、この9月には英国への留学申請件数が前年同月比30%増加。カナダやオーストラリアへの申請数も増えたという。同社はカナダのブリティッシュ・コロンビア州との提携の下、同州のカリキュラムを採用した初等学校事業を展開しており、これがカナダの象徴でもあるメイプルリーフという社名の由来。こうした事情から、卒業生が優先的に目指す留学先はカナダであり、留学あっせん先の内訳を見ると、カナダが全体の38%。以下、オーストラリアが28%、英国が16%、米国が2%、その他が16%と続く。上位3カ国が全体の82%を占める同社としては、この3カ国への進学需要の伸びが追い風となる。

 4月の決算発表で、高校の新規入学者数が大きく落ち込んだことが明らかになって以来、同社株価は大きく下落した。ただ、BOCIは学生の質を優先させる同社方針は適切であるとして前向きに評価。合否判定基準を引き下げれば、容易に入学者の満額受け入れが可能となる半面、進学実績に悪影響が出ることにもなりかねないとした。また、高校の生徒数を抑えれば、小学校・中学校の拡大によるピラミッド型の事業構造の実現にもつながると指摘している。中国の都市部では現在、K12課程(幼稚園から高校まで)の私立学校が明らかにひっ迫しており、バイリンガル教育に対する需要が一段と高まっているのが現状。より良い教育機会を求めた地方から都市部へのヒトの移動も続いており、私立学校需要は大きい。

 BOCIは株価が教育銘柄の中で最低レベルにある半面、健全な利益成長率を維持していると評価し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスクとしては、K12教育課程を対象とした政策的リスクを挙げている。