外国人投資家が先物買いに動くと日経平均は上昇

 裁定買い残は、2007年以降で見ると、3,000億~6,000億円まで減少したあと増加に転じていました。リーマンショック後の安値(2009年)、ブレグジットショック後の安値(2016年)に、裁定残は3,000億~6,000億円まで減少してから底を打っています。

 日経平均は、裁定買い残が減少している間(裁定売り残が増加している間)、つまり外国人が先物を売っている間は下落します。ところが、裁定買い残が増加に転じる、つまり外国人が先物買いに転じると、上昇に転じます。

 2007~2019年では、裁定買い残が3,000億~6,000億円まで減少したところで、日経平均先物を買えば、タイミングよく日経平均が反発に転じ、利益を得られる可能性が高かったと言えます。

 10月4日時点で、裁定買い残は、再び5,067億円まで低下しています。一方、裁定売り残は、1兆6,575億円まで積み上がっています。差し引きすると、売り残が買い残を1兆1,508億円も上回っています。投機筋の先物買いポジションはほとんど整理され、先物売りポジションが積み上がっている状態です。短期的な需給指標として、「売られ過ぎ」を示唆しています。

 ここまで、裁定買い残が減ったということは、外国人の投機筋は、リーマンショック時、ブレグジットショック時と同じくらい、日本株にネガティブと判断していることになります。裏返せば、ここからさらに悪材料が出ても、追加で大量の先物売りは出にくいと言えます。少しでもファンダメンタルズに改善の兆しが見えれば、外国人の先物買い戻しが出やすい状況と言えます。

 需給指標だけで判断するならば、日経平均が今後上昇する可能性が高いと言えます。ただし、最終的にどう動くかは、需給指標だけでは決まりません。需給指標とファンダメンタルズ(景気・企業業績)のミックスで、最終的な動きが決まります。