ゲーム収入減速で売上構成に変化、フィンテックが18-21の増収牽引へ

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

 325.20HKD
(10/4現在)

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 19年に入り、オンラインゲーム事業の増収率が10%台前半に減速する中、テンセントの売上構成は、広告事業やフィンテックおよびビジネスサービス事業にシフトしつつある。BOCIは事業部門別の成長見通しや利益率が大きく異なることを理由に、これまで評価額の算出に用いてきたPEGレシオでは、部門ごとのダイナミクスの違いを反映できないと指摘。PEGベースからSOTP(サムオブザパーツ:各事業・資産ごとの評価額を積み上げる形で全体評価を行う)に算出方法を変更する方針を明らかにした。また同時に、フィンテックやメディア広告事業の増収ペースが予想に届かなかったとして、19-21年の予想EPS(非GAAP)をそれぞれ2%、4%、4%減額修正。これに伴い目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社のフィンテック事業は「フィンテックとビジネスサービス」部門に含まれ、18年には部門売上高の88%を占めた。事業を構成するのは、決済サービス(商取引決済や現金引き出し時の手数料)と手数料収入(主に小口融資や資産管理事業)。BOCIはフィンテックの増収率が18-21年に年率平均24%に達し、同社全体の20%を上回るとみている。粗利益率に関しては、21年に26.2%を予想。18年の24.2%(既存業務ベース、一時預かり金の利息収入を除いた場合は18年に15.8%)から上向くとしている。

 一方、中国のネット通販最大手、アリババ・グループ(NY上場企業:BABA)は今後、香港証券取引所にセカンダリー上場する見込み。BOCIはこれが実現すれば、テンセントからアリババに一部流れる形で投資配分の調整が進むとみて、具体的には以下の状況を予想している。MSCIエマージング・マーケット・インデックス・ファンドにおけるアリババのウエート上昇で、パッシブ運用資金27億米ドルがアリババ株の買いに動く、香港の主要指標ハンセン指数では、テンセントとアリババの指数ウエートが上限10%となり、その他構成銘柄のウエートが低下する、本土資金が保有するテンセント株約66億米ドルのうち、一部がアリババに流れる可能性が高い。

 南アフリカのメディア大手、ナスパーズは19年9月11日、テンセント株31.1%やその他インターネット資産を注入した新会社「プロサス(Prosus)」を、ユーロネクスト・アムステルダム市場に上場させた。これにより、テンセントとプロサスのペアトレード(サヤ取り投資)が可能となった。プロサスの株価は現時点で、同社が保有するテンセント株のNAV(純資産価値)に対し、3%のディスカウント水準にある。

 BOCIはSOTP方式に基づきテンセントの目標株価を引き下げた。新たな目標値は20年予想PER(非GAAP)で29倍相当。一方、レーティング見直しにつながる潜在リスク要因として、BOCIは主力ゲームのライフサイクルが短くなる可能性、フィンテックとクラウド事業の利益率の正常化時期が予想より遅れる可能性を挙げている。