相続財産として計上する必要がある貸付金

【貸付金】

 親が身内や他人に貸したお金がある場合は、貸した相手の名前・連絡先/貸付金額/返済予定日/返済方法/利子や担保の有無/借用書の有無など。貸付金は返してもらえないケースも多いものですが、それでも相続財産として計上しなくてはなりません。将来的に返ってくる可能性がゼロではないからです。

 貸付金額が大きいと、本当は手元にないのに、その分だけ相続財産が膨らむことになってしまうので危険です。貸し付けた相手が自己破産した場合は、債権が消滅するので、相続財産に含める必要はなくなります。貸付金の多くは個人間での貸し借りなので、借用書でも出てこないかぎり子は気づけません。貸した本人にきちんと記録を残しておいてもらうことが大事です。

【借入金やローン】

 親が金融機関で借りたりローンを組んだり、カードでキャッシングしたりしたお金の返済がまだ残っている場合、あるいは個人から借りたお金を返せていない場合です。借入先/連絡先/借入額/毎月の返済日/毎月の返済額/返済方法/返済期限/現在の借入残高/借入目的/返済口座銀行名/担保の有無/保証人の有無/保証人の名前や連絡先などが分かるようにしておいてほしいものです。

 プラスの財産も重要ですが、親の老後の生活や自分たちが相続する時のことを考えると、むしろマイナスの財産のほうが気をつけなければいけません。借金のために親の老後の生活がままならないと、子らに負担がかかってくることは多いです。また、相続時に負の財産が多く、相続するのが難しい場合、限定承認や相続放棄などを検討します。

 次回も、相続財産のリストアップであげる内容について見ていきます。

(大久保 栄吾/税理士法人大久保会計 税理士)

※この記事は2016年2月5日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。

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