9月に販売回復見通し、卸売台数が18年末以来のプラス成長回復か

現地コード 銘柄名
00175

吉利汽車

(ジーリー・オートモービル)

株価 情報種類

 12.48HKD
(9/26現在)

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 全国乗用車市場信息聯席会(CPCA)の9月第3週までの統計では、中国の新車販売は低調だったが、BOCIは営業日数の差異や例年に比べた中秋節の前倒し、月半ば時点での各社統計値の精度不足などを指摘し、月間の新車需要を楽観している。BOCIの調査では自主ブランド(国内の独自開発ブランド)メーカー大手の小売販売台数は月半ばから回復に転じたという。うち吉利汽車について9月の卸売台数が18年末以来のプラス成長に転じる可能性を指摘。小売台数の下げ幅も1桁台前半~半ばに縮小する見通しを示した(8月の減少率は20%超)。また、9-10月のピーク期から年末にかけての需要回復を見込み、同社株価がセクター全体をアウトパフォームするとの見方。20年の業況回復見通しを理由に20-21年の利益見通しを増額修正し、目標株価を引き上げ(20年予想PER12倍)、株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げた。

 CPCAによれば、乗用車の1日当たり卸売、小売販売台数は9月第3週までにそれぞれ前年同期比19%、17%減少した。ただ、BOCIによれば、卸売台数は大手各社の在庫処理努力や、7-9月の目標達成に向けたディーラーの追い上げを受け、9月にある程度持ち直す見込み。前年同月比の減少率が1桁台前半か、ほぼ横ばいまで改善するとみている。小売販売は月前半の段階で苦戦していたが、半ば以降は吉利汽車、長城汽車(02333)など一部自主ブランドに対する需要が回復に向かったもよう。8月に10%台後半だった業界全体の小売台数減少率が、9月には1桁台まで縮小するとみる。

 一方、吉利汽車の販売状況は予想より前倒しで回復に向かう見込み。卸売台数は9月にプラス成長を回復し、12月までプラスで推移する可能性が高い。小売台数については8月に20%超だった減少率が大きく縮小する見込み。BOCIのリサーチによれば、特に「吉利」ブランドの低価格車種や「Lynk&Co」(ボルボとの共同開発プラットフォームを利用した新ブランド)に対するエンドユーザー需要が回復傾向にあるという。

 ニューモデルを見ると、同社が9月上旬に成都モーターショーで発表した「博越(Boyue)PRO」はすでに2万台の予約を獲得した。「博越2020」に関しては希望小売価格の引き下げを行ったが、BOCIは本格的な値下げにつながる可能性は低いとの見方だ。また、別のニューモデル「SX12 icon」はマーケティンングキャンペーンが始動しており、遅くても20年の旧正月までにお目見えする可能性が高い。

 BOCIは予想より早期の販売回復見通しを反映させる形で20年、21年の予想純利益をそれぞれ約3%引き上げ、102億元、118億元に設定した。現在株価の19年、20年の予想PERは12.5倍、10.1倍。BOCIは20年まで市況回復が続くとの見通しを理由に、同社株価の先行き見通しを強気に引き上げた。完成車メーカーの中では同社とともに長城汽車を選好。広州汽車集団(02238)と東風汽車集団(00489)も有望としている。