消費者も事業者も約8割がキャッシュレス化を望む

 キャッシュレスの利用率を高めるため、キャンペーンを各社こぞって行っているが、消費者や加盟店のキャッシュレス決済に対する関心は高まっているのだろうか。

 楽天ペイメントの小山によると、「世の中のキャッシュレス決済に対する理解の高まりとともに関心も高まっていると感じています。消費者の方からも、加盟店様からも、『キャッシュレス決済は現金支払いよりも便利』という声が届いています」

 その声は上記のようにデータに裏付けされている。

 また、店舗の会計担当者が「キャッシュレス決済があった方がいい」と考えている割合はコンビニ83%、居酒屋79%、タクシー75%というように業態を問わず高かった。

「なぜ便利なのかというと、現金の受け渡しがなくなることで会計に時間がかからなくなり、お客さまがレジで待つ時間が短縮されるからです。しかしキャッシュレス決済のメリットはレジの効率化だけではありません。加盟店様にはマーケティング的な効果が期待できます。レジの効率化+本業の商売に役立てることができるのです」

 キャッシュレス決済の比率が高いほどレジの効率化が高まるが、完全キャッシュレス化にしてしまうと、逆にお客は不便に感じて離れてしまうのではないだろうか。

 楽天ペイメントでは2019シーズンから東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地「楽天生命パーク宮城」とサッカーの「ノエビアスタジアム神戸」で完全キャッシュレス化の実験を行っている。

 「ここでは現金は使えませんが、楽天グループが提供している全てのペイメントサービスと、指定の各社クレジットカードやデビットカードが使えます」と小山。

キャッシュレスはますます進むだろう

 当初は現金が使えないと売上が減るのではないかという懸念もあったが、小銭を持ち歩く必要がなくなる、会計時のお釣りの間違いがなくなる、会計時の待ち時間が短縮される、飲食店では衛生面の安全性が高まるというメリットの方が大きく、開幕戦から2カ月の売上は、飲食店で前年比19.8%増、グッズショップ20.1%増と好調だという。

 利用者に対する聞き取りでも、キャッシュレスになれていない高年齢層には戸惑いがあったようだが、「分からないことは(スタジアム内に設置された)キャッシュレスデスクで親切に教えてくれた」と、かえって好印象を抱いたようだ。