現金がない場合は「物納」「延納」という方法もある

 相続税は「現金」での一括納付が原則です。ただし、相続税を払うだけのキャッシュがない場合は、「物納」や「延納」という方法もあります。「物納」は、お金の代わりにモノで相続税を納める方法です。相続税額5000万円が用意できない場合、評価額にして5000万円分の不動産を納める、といったやり方をします。

「延納」は、本来は一括納付すべき相続税を分割で納める方法です。延納できる期間は原則5年以内です。しかし、相続財産の中で不動産や自社株などの占める割合が大きい場合は、すぐには売却できないこともあり、最高20年まで認められます。

 物納にしても延納にしても、認められるには一定の要件を満たさねばならず、また完納するまでの利子税もかかります。現金で払えるなら、それがベストです。近年は、税務署が物納・延納を認めるケースが減っています。審査の基準が厳しくなっているからです。「お金がなければ土地で納税すればいいや」という考えはなしにして、現金で納税できる方法を早めに探っておきましょう。

(大久保 栄吾/税理士法人大久保会計 税理士)

※この記事は2016年1月8日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。

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