過去20年にわたり金(ゴールド)がウォーレン・バフェットのリターンを上回っている

 貴金属 金・銀・鉱業株は過去12カ月にわたって傑出した予想外の好成績を上げているといってもいいだろう。

 金は最近、強固な抵抗水準を突破して2018年8月比28%高、年初来18%高となった(図19)。

図19 ロンドン金

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート2019年9月号「介入を求めるのは、支配を求める誤った入口」

 もっとも、短期的には貴金属に、ものすごく前向きにはなれない。投資家感情が、ほぼ満場一致で強気であるからだ。しかし、金鉱株ETF(GDX)は長期にわたりナスダック100指数に比べて絶不調だった。このことを考慮すると、金が数年間、株式を上回り続ける可能性があるのは明らかである(図20)。

図20 金鉱株ETFとナスダック100指数の比較

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート2019年9月号「介入を求めるのは、支配を求める誤った入口」

 しばらくの間、金が株式を上回ることの重要性を強調したい。ほとんどのファンドマネジャーが貴金属や関連株をほとんど所有していないからだ。また、大手メディアは金や金鉱株だけでなく、金に肯定的な専門家を「黄金虫」と呼んで小バカにする番組を放送している。

 しかし、金が2年以上にわたって株式を上回った場合、一変する可能性がある。ファンドの受託者がファンドマネジャーに金への投資配分について問い合わせるようになり、資産の少なくとも3%や5%を金や関連株で保有するよう促すだろう。あるいは10%にもなるかもしれない(特にマイナス金利の国で)。そのころには、メディアの人間も上司の命令で貴金属に前向きな話をする番組に作り替えるだろう。

 これに関連して、ウォーレン・バフェットが主催する人気のお祭り(訳注:株主総会)では取り上げられそうにない(また、メディアも言及しそうにない)小さな秘密がある。過去20年にわたり金が実際のところバークシャーハサウェイの株価を上回っていることだ(図21)。

 したがって、私は分散投資の一環として、また株式と米ドルが価値を下げる可能性に対するヘッジとして、金・銀・白金および関連株の保有を続けることにする。

図21 バークシャーハサウェイの総合リターンと金を比較
過去20 年の総合リターン(%) 金($GOLD)バークシャーハサウェイ(BRKB)

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート2019年9月号「介入を求めるのは、支配を求める誤った入口」