株式インセンティブ実施へ、株価・ファンダメンタルズ両面でプラス

現地コード 銘柄名
02333

長城汽車

(グレートウォール・モーター)

株価 情報種類

 5.31HKD
(9/9現在)

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 長城汽車はこのほど、03年の上場以来初となる株式インセンティブスキームを発表した。対象となるのは取締役や管理職、中核スタッフなど計1,928人であり、人材の定着やモチベーションの向上に寄与する見通し。BOCIは同社の株価とファンダメンタルズの両面からプラス効果を見込む。また、自動車業界と同社がこの先、そろって底入れに向かうとみて、インセンティブスキームを行うには絶好のタイミングだと指摘している。株式市場のセンチメントの改善や同社に対する信頼度の高まりを理由に、目標株価を引き上げ、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続。自主ブランド車(中国国内での独自開発ブランド)メーカーの中では、吉利汽車(00175)やBYD(01211)より同社を選好し、10-12月に予想される業況回復期を控え、同社が優先的な選択肢になり得るとしている。

 同社が提案しているインセンティブスキームは譲渡制限付A株(リストリクテッド・ストック)の付与とA株普通株のストックオプションで構成され、同スキームに基づく発行予定株数は1億8,510万株(現在の発行済み株式総数の2.3%)。まず第1弾として306人に譲渡制限付A株5,890万株を付与し、1,622人に1株当たり4.12元(権利行使価格8.23元)でA株オプション8,910株を付与する運びとなる。スキームを実施するためには、10月25日の株主総会でA株・H株株主の承認を得ることが前提となる。

 譲渡制限付株の売却が可能となる業績要件は販売台数と純利益で構成され、ウエートはそれぞれ65%、35%。販売増と市場シェア拡大を優先させる同社戦略を反映した要件となる。19-21年の目標値は、販売台数が107万台、115万台、125万台(前年比1.6%増、7.5%増、8.7%増)で、純利益が42億元、45億元、50億元(同19.3%減、7.1%増、11.1%増)。さらに対象者は個別に、3段階の評価を受けることになる。

 同スキームの第1弾を19年11月に実施したと仮定した場合、譲渡制限付株とストックオプションの評価額は各2億3,700万元、1億2,690万元相当。19-22年の4期にわたって償却費用を計上する可能性が高い。BOCIは同スキームが、経営陣による積極的な経営戦略の見直しを意味するものとして前向きに評価。株価とファンダメンタルズの両面からプラスになるとみる。

 経営陣は19年の純利益目標を42億元に設定しているが、BOCIの現在の予想は37億元。BOCIは自社予想が過度に慎重である可能性に言及し、7-9月期決算を見極めた上で増額修正を検討するとした。また、インセンティブスキームの実施方針が同社の将来的な発展に対するマーケットの信頼度向上につながると指摘。相場のムード改善なども反映させる形で、目標株価の算出ベースを19年予想PBR(株価純資産倍率)0.9倍から1.0倍に上方修正した。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。