19年3月通期は製品価格の上昇で利幅改善、今後の販売量の伸びに期待

現地コード 銘柄名
03998

波司登国際控股

(ボスドン・インターナショナル)

株価 情報種類

 2.92HKD
(9/5現在)

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 波司登国際はブランド物のダウン衣料事業に再び照準を合わせる方針だが、この戦略はまだ初期段階にあり、19年3月本決算では平均販売価格(ASP)が大きく上向く半面、販売量は前年並みにとどまった。ただ、BOCIはブランドエクイティ(資産価値)の上昇や、製品デザインおよびイノベーションに対する持続的な投資が、特に若年層の取り組みによる顧客基盤の拡大につながると予想。これが結果的に、販売量を押し上げるとの見通しを示した。ブランド・ダウン衣料とOEM事業の成長見通しに加え、製品価格の上昇や製品構成の最適化を受けた利益率の改善見通しを反映させる形で、20-21年度の予想売上高、予想純利益をそれぞれ5%、16%増額修正。20年予想PER25.0倍を基に目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 主力の「波司登」ブランドの売上高は、19年3月通期に前年比38.3%増。粗利益率は60.6%へ4.2ポイント改善した。同ブランドの増収を支えたのは主に平均販売価格の上昇であり、販売量の伸びは限定的。BOCIはその理由として、製品の値上がりに加え、ダウンが季節衣料であるために日常服より買い替えサイクルが長期化している可能性を挙げ、同ブランドの収益性の改善が遅れる見通しに言及した。ただ、今冬以降には販売量が段階的に増える可能性を指摘。平均販売価格の15-20%の上昇見通しと合わせ、20年3月期には「波司登」ブランドの前年比35%増収が期待できるとしている。

 同社は19年度に、ゴアテックス・シリーズや世界の著名デザイナー3人と提携したデザイナー・ジョイント・コレクション、さらに米マーベルとの提携強化を通じた新たなコレクションなど、注目の新製品シリーズを相次いで発表した。BOCIは今後も、機能性が高くファッショナブルな製品の供給を目指し、同社が昨年度と同様に、ブランドのアップグレードや製品イノベーションに力を入れるとみている。

 同社全体の粗利益率は19年度に53.1%だったが、BOCIは20年度、21年度に54.5%、55.1%への上昇を見込む。製品構成の最適化やブランド・ダウン衣料の売上構成比の拡大が背景。多額の宣伝広告費が響き販売費が高止まりすると予想しながらも、一般管理費や財務費の対売上高比率は下向くと予想。20年度、21年度の純利益率については9.9%、10.1%を予想している。

 BOCIは20-22年度の予想増益率を年率平均16%から23%に上方修正。これに伴い目標株価の算出ベースを20年度予想PER22.0倍から同25.0倍に変更し、目標株価を引き上げた。今後の潜在的な支援材料として、最先端をいく新シリーズのデザインが欧州市場で人気を呼ぶ可能性を指摘。一方、下方修正につながる潜在リスク要因としては、暖冬によるダウン衣料の需要減や販売費の予想以上の増大、レディース衣料ののれん代減損の発生などの可能性を挙げている。