日本の金融政策見通し

 一方、日銀は黒田東彦総裁が予防的な金融緩和に躊躇(ちゅうちょ)なく踏み切る方針を発表していますが、欧米の実際の行動を伴う緩和姿勢と比べると出遅れている感は否めません。

 従って9月に欧米が利下げすれば、織り込まれているとはいえ、円高圧力が高まる可能性があります。ただ、救いは日程的に欧米の理事会の結果を見てから判断できることです。欧米がかなりハト派寄りになったときは、日銀は何らかの対応をしなければ、円高が一層進む可能性が高まります。

 日銀決定を判断する材料の一つとして、9日に公表予定の日本の4-6月期GDP改定値が注目されます。もし、速報値のGDPが+1.8%から下方修正された場合、日銀への追加緩和期待が高まるかもしれません。この場合、日銀の決定会合までの円高圧力は緩和されるかもしれません。ただ、これも実際に行動に移さなければ、期待の反動と決定への失望から、円高圧力が増す可能性もあります。

 9月2日、財務省から4~6月期の法人企業統計が発表されました。

 その中で製造業の設備投資が▲6.9%と大きく減少。この法人企業統計はGDP改定値のデータ資料となるため、この減少を受けてGDPは速報値の+1.8%から下方修正される見通しとなっています。民間エコノミストの間では、1%弱から1%台前半との見方が多く、いずれにしろ速報値よりも大きな修正です。まずは、9日の日本のGDP改定値に注目です。