割安な日本株。押し目買いの条件は、悲観シナリオの後退

 一方、日米市場は9月から10月にかけて底入れし、こんどは「悪材料の出尽くし(織り込み)」や投資環境の改善を材料にして日米株価が年末にかけ上昇した(回復した)との季節的傾向もみてとれます。本年も、「米中貿易交渉は難航→米景気は景気後退入り」との過度な悲観シナリオが後退すれば、割安感を見直す押し目買いが広がる可能性はあると考えています。

 図表4は、日経平均と「日経平均を一つの会社とみる場合の予想BPS(1株当り純資産)」の推移を示したものです。日経平均の予想BPSは約2万300円(23日時点)で、予想PBR(株価純資産倍率)は約1.0倍と割安感があります。

 換言すると、8月の米国株安や円高でも日経平均が2万円を割れにくかったサポート水準ともみなせます。9月以降、

(1)トランプ大統領がディール(交渉成立)を視野に貿易摩擦緩和を示唆する

(2)香港情勢が悪化せずに「地政学リスク」とならない

(3)FRB(米連邦準備制度理事会)とECB(欧州中央銀行)が9月にも追加的な金融緩和を実施する

(4)米国、中国、ドイツなど主要国が景気下支えを目的とする財政支出を打ち出す

(5)米債券市場金利が反転上昇することで円買いが一服するなどして外部環境が改善

 といった条件がそろえば、日経平均が季節性に沿い秋から年末にかけ反転回復していく展開を期待しています。

図表4:日経平均と予想BPSの推移

*日経平均の予想PBR(株価純資産倍率)=日経平均株価÷予想BPS(純資産)
*上記は市場予想をもとにした参考情報であり、将来の投資成果を保証しません。
出所: Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2009年1月1日~2019年8月23日)

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