19年4-6月期の純利益は予想上振れ、販売費抑制などが寄与

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

 340.00HKD
(8/15現在)

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 テンセントの19年4-6月期決算は、売上高がBOCIの予想、市場予想をそれぞれ4%、5%下振れる半面、純利益(非GAAP)は4%、3%上回った。売上高が予想に届かなかったのは主に、PCゲーム収入とメディア広告収入が予想から下振れたため。一方、非コア利益の上乗せや実効税率の低下が純利益の予想上振れに寄与した。BOCIは主に販売・マーケティング費の抑制を理由に、19-21年の予想EPSをそれぞれ4%、5%、4%増額修正。目標株価をやや引き下げながらも株価の先行きに強気見通しを継続した。

 4-6月決算を事業ごとに見ると、まずオンラインゲーム部門では、モバイルゲーム収入が前期比5%増の222億元に上った。「PUBGモバイル」など既存タイトルの増収に加え、「パーフェクトワールド(完美世界)モバイル」といった新規タイトルの上乗せが貢献した。同社が4-6月に配信を開始したモバイルゲームは10作品で、前期の1作品から急増している。また、同社は複数タイトルを対象に「シーズンパス」(追加コンテンツなどを受け取り可能な権利)システムを導入。こうした手法が、マネタイズ(収益事業化)の面で、従来型のアイテム課金を補完する形となった。一方、PCゲーム収入は前年同期比9%減少したものの、現金収入は増加。繰延収益は前年同期並みだった。

 オンライン広告部門では、4-6月のソーシャル広告収入が前年同期比28%増の120億元に上った。「WeChatモーメンツ」や「QQ看点」における広告インベントリ(広告在庫)およびインプレッションの増加が背景。ただ、メディア広告収入は7%減の44億元。同社はこの先、国内経済の減速や動画広告在庫の供給過多によるマイナス影響を見込んでいる。

 フィンテックおよび企業向けサービス部門の売上高は、4-6月に前年同期比37%増の229億元。既存ベースで見た部門売上高(預り金から得られる利息を除外)は、商業ペイメントの取扱量の伸びを背景に同57%増だった。BOCIは資産管理プラットフォーム「理財通」の顧客資産残高が18年末の6,000億元から、19年6月末には8,000億元に拡大した点に注目している。

 一方、4-6月期の純利益率(非GAAP)は26.5%と、前期の24.5%から上向く半面、前年同期の26.8%からほぼ横ばいに推移した。販売費の抑制や実効税率の低下(前年同期の16.2%に対して11.6%)によるプラス効果が、粗利益率の2.7ポイントの悪化や利益分配分の対収入比率の低下などを相殺したため。うち販売費の抑制は、ROI(費用対効果)重視のマーケティング戦略や広告費用の低下によるものだった。

 BOCIはPEGレシオ1.2倍に基づいて目標株価をやや引き下げた。20年の予想EPSは12.76元で、21年の予想EPS伸び率は前年比24.3%(非GAAP)。新たな目標株価は非GAAPの20年予想PERで29倍に相当する。