ドル/円の下落より下落率が大きい通貨を知る

 図表2は、主要外貨(通貨)別に対円の期間騰落率を計算し、8月初来騰落率(8月に入ってからの騰落率)の降順に並べた一覧表です。米ドルやユーロといった主要通貨よりも、英ポンド、豪ドル、NZドルの下落率が大きく、中国人民元や韓国ウォンの下落率はさらに大きくなっています。

 これら外貨の対円相場下落(円の上昇)は、日本のグローバル企業(輸出や海外事業を収益の柱としている多国籍企業)には「交易条件」(売上や利益を変動させる要因)の悪化をイメージさせます。

図表2:外貨別の対円相場(8月初来騰落率の降順)

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(日本時間の8月15日午前9時)

 英国のボリス・ジョンソン新・首相(保守党)は「なにがなんでも10月末にEU(欧州連合)から離脱する」と公言。産業界からの批判を無視して「合意なきEU離脱」を強行する姿勢を示したことで、英ポンドの対円相場は年初来で8.7%も下落しています。また、トランプ大統領が「為替操作国」と断定した中国では、人民元の対円相場が一時15円割れに下落。

 一方で、日本と韓国の政治的な対立激化を背景に、経済的な混迷が懸念される韓国ウォンの対円相場は「8月初来」と「年初来」の両方で最も下落した通貨となっています。図表2の「5日前比騰落率」で横ばいに転じる兆しもありますが、円高・外貨安が進行するなら、業績見通し下方修正を介して国内株の上値が一段と重くなる可能性もあり予断を許しません。